仙台市若林区の診療所  医療法人社団太陽会 仙台在宅支援たいようクリニック 【訪問診療・往診・予防接種】
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 第114話 死を乗り越える


投稿:院長

117日、最愛の父が亡くなりました。

 

一人になると、涙が溢れてきます。

 

父が元気な頃は、父の存在は当たり前のような感覚でいましたが、どんなに近くて強い絆で結ばれた間柄でもいつかは終わりがきます。

 

当たり前だと思っていた時に、もっとしてあげられることはなかったのか?という思いが尽きません。

 

地球には多くの生物が存在していますが、人として父の子供になり、一緒にいられたのは奇跡的なことです。

 

形あるものは、変化しながらいつかは終わりが来る。しかし、その人の残した心は、次の世代に受け継いでいくことができます。

 

この奇跡とも言える父との縁に感謝し、父が大切にしていた心を受け継いでいくことで、この悲しみを乗り越えようと思います。

 

そして、それが父に対する最大の供養になると信じています。

 

皆さんの周囲にも、その存在が当たり前だと思っている大切な人がいることと思います。

 

だからこそ、もっとしてあげられることはなかったのか?と後悔しないよう、今を大切にしていきたいものです。



2019年11月12日(火)


 第113話 思いを伝える


投稿:院長

人間誰でも、人生の終わりがやってきます。

 

患者さんの死に立ち会うことをお看取りすると言いますが、残された家族にとってよい看取りとは何でしょうか?

 

もちろん、「患者さんの苦痛が少ない」、「亡くなる時に立ち会うことができた」、ということも大切なのですが、家族にとって良い看取りとは、「家族が患者さんに思いを伝えられた」、「患者さんから家族に対して思いを伝えられた」ということが最も重要なのです。

 

今まで 照れてそんなこと言えなかった、という方もいらっしゃると思いますが、今こそ大切な人に思いを伝えましょう!そして、大切な人からのメッセージを受け取りましょう!



2019年11月7日(木)


 第112話 父との約束


投稿:院長

先週の週末、新潟の実家に1泊だけ帰省しました。

 

それは、父との約束を果たすためです。

 

ここ数年、めっきり体力が低下し、今年から特別養護老人ホームに入所していましたが、私が帰省した時に実家に外泊する約束をしていたのです。

 

この日に合わせて、施設では、夕食に食べる嚥下食を用意し、ポータブルトイレを貸して下さいました。

 

介護タクシーに乗って、父にとって半年ぶりの帰宅です。

 

実家では、簡易ベッド、座椅子を使った背もたれ、ベニヤ板で作ったテーブルを用意し、この日に備えました。

 

父が生まれてからずっと過ごした実家は築100年以上。

 

家族で食卓を囲んだ日、一緒に屋根の雪下ろしをした日、酒を酌み交わして饒舌に語った日、母と口げんかした日・・・。

 

実家には、家族の思い出が染み込み、この場所で起こったことが昨日のことのように思い起こされます。

 

今は、自力で起き上がることもできなくなり、眠ってばかりで口数も少なくなってしましましたが、久しぶりの実家に気分がよさそうです。

 

すっかり痩せてしまった体に涙が出そうになりましたが、今までの感謝の気持ちを込めて食事の介助、トイレの介助、清拭、着替えを行いました。

 

深夜、隣で寝ていたところ、ドスンという音がして慌てて目を覚ますと、案の定、柵のない簡易ベッドから転落していました。トイレに起きようとしたようです。

 

しかし、あらかじめ座布団をマット代わりに、三重に敷き詰めていたので、全くケガはありませんでした。

 

父をゆっくりと抱きかかえてベッドに戻すと、小さな声で「どうもな」と言葉を発しました。

 

あと、どれくらい親孝行ができるかわかりませんが、今日、約束を果たせて本当良かったと感じました。

 

翌朝、母が、来年の年賀状を見せてくれました。そこには、父が施設で創作した俳句が添えられていました。

 

来年の正月に、仙台にもこの年賀状が届きますように・・・と願いながら実家を後にしました。

 

今、担当している患者さんには、私の父と年齢が重なる方が大勢いらっしゃいます。

 

ご家族の心の中に、父と過ごした日々が良い思い出として刻まれるよう、それぞれの約束を果たしていきたいと改めて思いました。



2019年11月2日(土)


 第111話 衰える男子 パート2


投稿:院長

前回に引き続き、過去から現在、そして将来、男性に起こりつつある危機について触れたいと思います。

 

人には、姓を決める遺伝子が乗っているX染色体とY染色体があり、これらは姓染色体と呼ばれています。

 

女性の場合、父親と母親の両方からX染色体を引き継ぐので姓染色体の構成はXXとなり、男性の場合、父親からY染色体、母親からX染色体を引き継ぐので姓染色体の構成はXYとなります。

 

2002年に、Y染色体は退化の途中にあり、やがて滅亡してしまうかもしれないという報告がなされました。

 

太古の昔、X染色体、Y染色体とも、それぞれが持っている遺伝子の数は同じでしたが、その後、Y染色体の遺伝子は減少の一途をたどり、今やX染色体が持つ遺伝子の数1098に対してY染色体は78しかなく、実際、見た目もX染色体に比べると小さく弱々しい感じです。

 

これは、Y染色体は子供に直接受け継がれるため、突然変異やコピーミスがあっても修復が難しく、この結果、どんどん劣化し、500600万年後にはY染色体は消滅するかもしれないと予測されているのです(※)。

 

ちょっと衝撃的ですね。

 

これが本当だとしたら、将来、精子バンクに保存された精子を使って、数万年後の女性が妊娠するという「超歳の差カップル」が誕生するなどということもありうるのかもしれません。

 

しかし、精子バンクに保存されていた精子が底をついてしまったら・・・。

 

以前、「Yの悲劇」という長編推理小説が流行しましたが、こんなコワイ話にならないよう、Y染色体にはいつまでもワイワイと元気に生き残ってほしいものです。

 

(※)Y染色体は安定しているという学説があったり、Y染色体の遺伝子は他の染色体に移動して男子は存続するという学説があったり、今とは全く違う生殖を行う新人類が現れたりするという学説があったり、現在も論争が続いています。




2019年10月29日(火)


 第110話 衰える男子 パート1


投稿:院長

しつこいようですが、今日も人類滅亡につながるかもしれないシナリオを書きます。

 

それは、精子の劣化による生殖能力の低下です。

 

昔は不妊症の原因が女性にあるとされ、子供を産めない女性への風当たりが強かったのですが、不妊症の半分は男性側に原因があります。

 

この40年の間に、男子の精子数が半分以下になったことが2017年に報告され、男性の持つ精子の数は近年減少の一途をたどっているのです。

 

その上、運動できない精子や、奇形を持った精子が増え、受精できない精子を持つ男性が増加しています。

 

その原因ははっきりと解明されていませんが、肥満、飲酒、喫煙、ストレス、睡眠不足などのライフスタイルの変化や、環境ホルモンと言われるプラスチックなどの化学物質が体内のホルモンバランスに影響を与えているのではないかと言われています。

 

その結果、デンマークでは、自然妊娠の数が低下し、人工授精などによって出生率を維持しているそうです。

 

しかし、生殖技術の発達は、精子の競争力をさらに低下させ、さらに精子の劣化につながる可能性も秘めています。

 

日本では、晩婚や未婚が進んで出生率も低下し、今や人口減少時代に突入していますが、今後は子供が欲しい時に妊娠できないケースが増え、「産まないのではなく、産みたくても産めない時代」が到来しつつあります。

 

恋愛に積極的になれない受け身の男子を「草食系男子」などと呼んだりしますが、今後は「外見や態度は肉食系だけど精子は草食系」という男子も増えてくることでしょう。

 

今、「生殖系男子」を維持していくにはどうしたらよいか真剣に考える時が来ています。

 

※今日、宮城県でも大雨の警報が出されています。皆さん、万全の態勢でお過ごしください。



2019年10月25日(金)


 第109話 虫の息


投稿:院長

前回は、人類の滅亡などという物騒なことを書きましたが、今日も、地球で観測されている生態系の乱れの一例について書きたいと思います。

 

それは昆虫の減少です。

 

今、昆虫は毎年2.5%ずつ減少していることが指摘されており、研究者の間では、100年後に昆虫は絶滅するのではないかと懸念が広がっています。

 

その原因として挙げられているものは、大規模農業による農薬の散布、殺虫剤の使用、都市開発、森林破壊、気候変動による生息地域の減少です。

 

「えっ、昆虫?害虫がいなくなるのは好ましいことじゃん!」

 

などと思われるかもしれませんが、昆虫は、鳥、魚、哺乳類にとって重要な食糧となっており、さらに、地球上の80%の植物は昆虫によって花粉が運ばれ、昆虫はその受粉に重要な役割を果たしているのです。

 

また、ある昆虫は、土壌を健全に保ち、栄養素をリサイクルし、害虫を駆除するなど、人間にとって大きな役割を果たしてくれています。

 

この生態系の維持に重要な役割を担っている昆虫が減少すると、人類の生存にとって必要不可欠な食糧や木材、繊維の生産を脅かすことにつながるのです。

 

まず、私達ができることは、無秩序な農薬や殺虫剤の使用を控え、緑を排除した無計画な都市開発をやめ、小さな虫にとっても優しい自然環境を作っていくことです。

 

私が子供の頃は、草むらにはトノサマバッタが跳ね回り、池の周辺にはオニヤンマ、ギンヤンマが飛び交い、木々からはニイニイゼミやヒグラシの大合唱が聞こえ、花の周辺にはアゲハチョウが舞い、夜の小川にはホタルが幻想的な世界を作り、堆肥の中にはカブトムシの幼虫が所狭しと住み着いていたものですが、こんな昆虫達の世界が、もはや再現不可能な単なる懐かしい思い出になってほしくありません。

 

地球上に、人間だけが繁栄する“虫のいい世界”なんてあり得ないのです。

 

自分達の利益だけを考え、自然破壊に歯止めをかけようとしない悪い虫が、このまま人間に取り付いてしまわないように祈るばかりです。



2019年10月21日(月)


 第108話 人類の滅亡


投稿:院長

今回は、前回の台風の話題にも関連して、かなり衝撃的な表題としましたが、個人的には気候変動が原因で人類の滅亡がありうるのではないかと本気で考えています。

 

気候変動の原因は地球温暖化。

 

そして、地球温暖化の原因となるのは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排泄です。

 

地球温暖化が進むと・・・

 

1)生態系のバランスが崩れて食糧が不足する。

2)氷河が溶け出し、海面が上昇した結果、沿岸部の一部が水没し、高潮や洪水の影響を受けやすくなる。

3)相次ぐ異常気象、山火事の発生、台風の発生による被害が繰り返し起こる。

 

などの問題が深刻化すると言われています。

 

こう考えると、毎年のように起きる台風の被害も、天災ではなく人災かもしれません。

 

現在、地球の平均気温は、産業革命前から1.1℃上昇し、このペースでいくと2030年には1.5℃に達するとされ、ある有名な科学者は、1.5℃を越えると、もはや後戻りできない変化が始まると強く警告しています。

 

ということは、人類の未来が、あと10年足らずで決してしまう可能性があるのです!

 

2020年から、気温上昇を1.5℃以内に抑えることを目標としたパリ協定が発動される予定となっており、参加各国は、それぞれが掲げた数値目標を達成することが求められています。


そして、パリ協定に参加する77か国が、2050年までに温室効果ガスの排泄をゼロにすると約束しています。

 

日本は、2050年までに温室効果ガスの排泄を8割削減することを目標に掲げていますが、いまだに石炭火力に依存する割合が高く、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの総電源に占める割合は16%と先進国の中でも低く、取り組みが不十分と指摘されています。

 

温室効果ガスの排泄は、企業活動がその7割を占めています。

 

近年、企業の社会的貢献(CSRCorporate Social Responsibility)という言葉が注目されています。

 

それは、企業は自社の利益を追求するだけでなく、消費者、地域社会、環境に配慮した企業活動を行うべきとする経営理念です。

 

私達には、生活者として暮らしの中で省エネを常に考えること、消費者として企業がCSRにしっかり取り組んでいるか厳しく監視すること、経営者・労働者としてCSRに積極的に関わっていくことが求められています。

 

かつて、食物連鎖の頂点として1億年以上も繁栄した恐竜ですが、そのほとんどが絶滅し、気候変動がその大きな要因とされています。

 

恐竜に起きたことが人間で起きないとは言い切れません。

 

私達には、CSRを超えて、次の世代、未来の人類に配慮した活動が求められています。



2019年10月17日(木)


 第107話 普段通り


投稿:院長

1012日の午後から13日の早朝にかけて、台風19号が東北地方を通過し、次々と発せられる避難情報にとても緊張しながら一夜を過ごしました。

 

幸い、この間、患者さんから体調不良の連絡はなく、訪問先の患者さんをはじめ、ご家族、診療所の職員、施設職員に大きな健康被害はなかったようで安堵しています。

 

しかし、各地では、水害などにより亡くなった方、被災した方もいらっしゃり、ご冥福をお祈りすると共に、一日も早い復興を願わずにはいられません。

 

そして今日、台風の通過後、初めての訪問診療に出かけました。

 

途中、名取川周辺も通過しましたが、河川敷ではなんと少年野球が行われていたり、畑仕事で汗を流している人の姿があったり、いつもと変わらない日常の光景を見ることができ、ほっとした気分で診療から帰ってきました。

 

日常の診療では、患者さんに体調を聞くと、「まあまあだね」と返ってくることも多いのですが、この言葉には、「普段通りで調子は悪くない」という意味が自然な形で込められており、個人的には好きな言葉の一つです。

 

人の営みには、時に、贅沢なこと、賑やかなこと、感動的なこと、絶好調なことはあっても良いけれど、自然現象を前にすると、普通に過ごすことがいかにありがたく、幸せなことか強く感じさせられます。

 

いよいよ明日から連休明け。

 

多くの患者さんから「まあまあだね」と返ってきますように。

 

そして、多くの人にとって普通の日となりますように。



2019年10月14日(月)


 第106話 ノーベル賞イチ押し


投稿:院長

スマートフォンやパソコンに欠かせないリチウムイオン電池を開発した吉野彰(よしのあきら)さんが、ノーベル化学賞を受賞されたことが大きな話題になっています。

 

世界中に広く普及し、今や日常生活で欠かせなくなったものが、長い年月と多くの労力をかけて日本人の手で開発されてきたものであることを知り、とても誇らしく感じてしまいます。

 

吉野さん、本当におめでとうございます!

 

その一方で、私がノーベル医学生理学賞を絶対に受賞するべきだと考えているイチ押しの方が、東京農工大学特別栄誉教授の遠藤章(えんどうあきら)さんです。

 

遠藤さんは東北大学を卒業され、血液中のコレステロールを低下させるスタチンという薬を開発した方で、この薬のおかげで、心筋梗塞や狭心症の危険性の高い人の発症が未然に防がれ、世界中の数多くの人々が救われてきました。

 

この薬は、1989年、私が学生の頃に初めて発売され、今や全世界で4000万人の人が服用していると言われ、私のような一般の臨床医も、ほぼ毎日この薬を処方していると言っても過言ではありません。

 

先日、遠藤さんが、母校の東北大学で学生に向けて特別講義をされたことが新聞で報道されていました。

 

遠藤さんは現在85歳。

 

ノーベル賞は、受賞された方のメッセージを知ることに大きな意味があります。

 

それは、受賞者がどのような思いで研究に携わってきたのか、どのような経緯で発見や開発につながったのか、その過程でどのような苦労があったのか、これからの人類にとってどのような意味があるのか、その言葉の一つ一つが人類の歴史や財産になるからです。

 

遠藤さんがノーベル賞を受賞されるその日がやってくることを願ってやみません。そして、その時、遠藤さんがどのような言葉を残されるかとても楽しみにしています。

 

毎年、ノーベル文学賞の有力候補として名前の挙がる作家・村上春樹さんのファンを「ハルキスト」、安室奈美恵さんのファンを「アムラー」などと呼んだりしますが、私はすっかり「アキラー」です。



2019年10月11日(金)


 第105話 個別サービスの未来


投稿:院長

多くの老人施設では、施設のレクレーションに参加して楽しそうな表情をしている入所者の写真が飾られています。

 

その中の一枚に、ある回転寿司で撮影された写真がありました。

 

施設の職員に聞くと、「毎年、入所している方が行きたい場所を個別に聞き出して、希望が叶えられるように職員が同伴して外出しています」とのこと。

 

車椅子姿で写真に写っている患者さんに聞くと、「寿司はとてもおいしかったよ。今度はラーメンを食べに行きたいね!」と嬉しそうに語って下さいました。

 

施設のきめ細かいサービス精神に感心した私は、施設職員に向かって冗談を飛ばしました。

 

「もし自分が年を取ってこの施設に入所することになったら、ディズニーランドに連れてってくれ!連れてってくれなければ暴れてやる!と檄を飛ばしてみようかな?(※)」

 

 突然の無茶ぶりに動揺した職員は、「ええと・・・それは困ります。ディズニーランドじゃなくてベニーランド(※)なら考えてみます・・・(冷汗)」

 

このやりとりを聞いていた看護師さんや施設職員は大爆笑でした。

 

30年後、ベニーランドのジェットコースターでは、施設職員の付き添いを受けた迷惑老人が、入れ歯を飛ばしながら絶叫している異様な光景が見られるかも!?

 

※「檄を飛ばす」という言葉の意味は、励ますとか叱咤激励と誤解している人が多いのですが、本来は、「自分の主張や考えを人々に知らせて同意を求める」という意味で使われます。


※ベニーランドは、仙台市八木山にある遊園地「八木山ベニーランド」です。



2019年10月7日(月)

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