仙台市若林区の診療所  医療法人社団太陽会 仙台在宅支援たいようクリニック 【訪問診療・往診・予防接種】
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 第82話 「中学校」に学ぶ


投稿:院長

最近、中学生の子供が行っている通信添削で出題される国語の文章を読むことが趣味になっています。

 

問題を解いて頭の体操をすることが目的の一つではあるのですが、それ以上に様々なジャンルから質の高い文章が選ばれており、心に響く表現がたくさんあるためです。

 

その一例をご紹介します。

 

女子中学生の「まい」はクラスの中のグループに入ることに馴染めず、各グループからいじめられ孤立してしまいます。

 

自分が弱いせいだとまいは自分を責めますが、まいのおばあさんはクラス全体の不安に原因があるのだから自分を責める必要はなく、自分で転校を決めて良いのだとまいをさりげない言葉で導いていきます。

 

この時のおばあさんの言葉です。

 

「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、誰がシロクマを責めますか」

 

これは非常に説得力があります。

 

よく考えてみると、人は常に自分の「居場所」を探し求めて人生を歩んでいます。

 

学校、クラブ活動、仕事、家庭、趣味、ボランティア・・・・・自分らしく居られる場所を見つけられた人は生き生きと過ごすことができるでしょうし、そうでない人は、時には悪戦苦闘しながら自分の道を切り開いていきます。

 

そして人生の晩年には、自分を総決算できる生活の場を求めることになります。

 

それは自宅であったり、施設であったり様々ですが、自分の居場所を見つけられた人は、それだけで心穏やかに過ごすことができます。

 

在宅ケアとは、患者さんの生活する空間が患者さんにとって心地よい居場所となるようお手伝いすることなのです。

 

それにしても、学生の頃は問題を解くことばかりに一生懸命で、国語の本質が分かっていなかったと今更ながらに反省しているところです。

 

というわけで、しばらく「再入学した中学校」で学ぶことが私の心の居場所になりそうです。




2019年7月16日(火)


 第81話 支配人の条件


投稿:院長

ある老人施設で新しく責任者に就任された方が挨拶に来てくださった時のことです。

 

老人施設の責任者は大抵「施設長」とか「ホーム長」とか呼ばれるのですが、この方の名刺を拝見すると、肩書に「支配人」と記載されてあるので、思わず「高級ホテルのようでカッコいい肩書ですね!」と口走ってしまいました。

 

翌日、いつもユーモア溢れるある女性患者さんを診察していた時のことです。

 

この患者さんがいつもの口調で「私の家は天下一品です!家族が皆、私の言うことは何でも聞いてくれるからです!」と面白おかしく語ってくれました。

 

この言葉に、前日の出来事を思い出し、「まさにこの家の支配人だな〜」と感じました。

 

この患者さんは、夫や子供達に対して、何十年も「志配して(相手を思う気持ちを配り続けて)」きた結果、家族から愛される存在になったという訳です。

 

支配という言葉には、相手をコントロールするとか、独裁というネガティブなイメージがありますが、実はこの言葉には、「責任ある人が他の人達を支えて気持ちを配る」というポジティブな意味も込められているのだそうです。

 

ということで、「支配人」というのは、周囲に対する気配り、思いやりの積み重ねで生まれてくる「愛されキャラ」なんですね。

 

世の中の上司が部下から「あなたに支配されてみたい!」と思われるようになったら仕事も円滑に進むんだろうな・・・そう自分に言い聞かせる「院長」の独り言でした。



2019年7月12日(金)


 第80話 伝える


投稿:院長

79話で「孫の手」の法則を書きましたが、そもそも、哺乳類の多くは生殖年齢が過ぎると同時に寿命が尽きてしまうのですが、人は生殖年齢が過ぎても数十年以上長生きする特殊な動物なのです。

 

一体何故でしょうか?

 

それは、人には生殖による遺伝子の子孫への伝達という役割の他に、自分の子孫や後世の人々が繁栄できるよう支援するという重要な役割があるからです。

 

言い換えると、豊富な人生経験によって築き上げられたあらゆるものを後世に伝える役割があるということです。

 

例えば、孫の育児に参加することにより、育児に関わる肉体的・精神的・経済的負担を分担することができますし、さらに、子供の情緒を安定させ、他者への思いやりを育むことにつながるでしょう

 

また、社会の一員として自分の経験を後世に伝え、良き模範となり社会貢献することができます。

 

在宅医療で診察する多くの高齢者は、認知機能や身体機能に障害があり、ご自分では「役に立たない」と謙遜されるのですが、どんな方であっても、豊富な人生経験で裏打ちされた考え、技術、工夫、礼節、言葉、行動から学ぶべきものはたくさんあるのです。

 

在宅医療を通して、人から人へ脈々と受け継がれてきた人の営みを強く感じることができますし、医療者は、サービスを提供するだけでなく、多くの高齢者の生き様を心にとどめ、それを受け継ぎ、周囲や後世に伝えていく役割があると考えています。

 

私がこのブログで発信する目的の多くもそこにあるのかもしれません。

 

将来、あなたの職業(役割)は?と聞かれたら、医師ならぬ「医伝師」と答える日が来るかも(?)しれません。



2019年7月8日(月)


 第79話 孫の手の法則


投稿:院長

在宅医療では、私が勝手に考えた「孫の手の法則」というものがあります。

 

それは何かというと、たとえベッド上の生活となっても、高齢者の生活空間と孫の生活空間が重なっていると、高齢者が心身とも穏やかに生活できるという法則です。

 

孫を身近に感じることができる高齢者は、孫をあやしたり、逆に甘えられたりしながら、その成長を楽しみに生活することができます。また、祖父や祖母として役割を自覚することによって、家族の一員として生きがいを持って生活することもできます。

 

さらに、孫にとっても、「じいじ」や「ばあば」と同居することによって、両親とは一味違う優しさに触れ、またその生き様を肌で感じることによって高齢者を敬う気持ちが芽生えてくることでしょう。

 

足腰が衰えてベッド上の生活を送っている80歳代の男性Aさん宅で見た光景です。

 

3歳になるAさんのお孫さんは、まさに腕白盛りで、Aさんのベッドによじ登ったり、ベッドの上で積み木をしたり、ベッドから飛び降りたり(良い子はマネをしていけはいけません)、まさにベッドが遊びの空間になっていました。

 

子供は遊びの天才と言いますが、身の回りのものはすべて遊び道具にしてしまうからすごいものです。

 

一方のAさんですが、時々ハラハラしながら、目尻が約30度下がり、すっかりおじいさんの表情になって優しく見守っているのが印象的でした。

 

次に、90歳代の女性Bさんは、初のひ孫が生まれたばかりですが、訪問診療でひ孫の話題になると、目尻が約30度下がり、すっかり優しいおばあさんの表情になってしまいます。

 

そして、Bさんは、ベッドの上でひ孫を抱くことを目標に生き生きとリハビリに励んでいます。

 

Bさん宅でも、近い将来、ベッドがひ孫の「ジャングルジム」になることが予想されます。

 

ちょっと元気がなくなっている高齢者の皆さん、是非「孫の手」を借りてみてはいかがでしょうか!



2019年7月4日(木)


 第78話 4つのコミュニケーション技法


投稿:院長

76話で認知症に対する計算の効果について書きましたが、今日はユマニチュードについて触れたいと思います。

 

ご存知の方も多いかもしれませんが、ユマニチュードとはフランス語で「人間らしさ」を意味する言葉で、認知症の方に対するコミュニケーションを中心としたケアの技術を指します。

 

それは見る、話す、触れる、立つという4つの要素から成り立ち、「あなたを大切に思っています」という気持ちを相手に伝える技術ということもできます。

 

1)見る

相手の目線と同じ高さで、正面から30pくらいの距離で見つめるようにします。

水平な高さは「平等」、正面は「信頼」、近い距離は「優しさ」、見つめる長さは「親愛」を示すメッセージとなります。

 

2)話す

ポジティブな言葉で、優しく、穏やかに語りかけるように話をします。返事を返すことができない方に対しては、「足を拭きますね」「気持ちが良いですか?」などと、自分の行っているケアを実況中継し、相手の気分を確認するように語りかけます。

 

3)触れる

手のひら全体の広い面積でなでるように優しく触れるようにします。手足をつかんだりするは、相手に対してネガティブなメッセージとなるので控えるようにします。

 

4)立つ

人は立つことで3次元の視界が広がり、「ここに存在している」という認識や、人としての尊厳を自覚することができ、身体機能の維持向上にも良い効果をもたらします。

 

ユマニチュードを導入することで、「患者の攻撃的な言動が減少し友好的になった」「介護負担が減少した」「寝たきり患者が減少した」という効果のみならず、「ケアを担う職員の離職率が減少した」という効果が報告されています。

 

個人的には、この4つの基本的なケアの中で、同じ目線の高さで相手の目を見つめて穏やかに話すことが最も大切ではないかと思っています。

 

例えば、天皇を退位された上皇陛下が、象徴天皇として被災地を訪問され、床にひざまずいて被災者と同じ目線で優しく語りかけられました。たとえ短いやりとりであったとしても、陛下の温かい気持ちが多くの人々の心に届いたでしょう。

 

このユマニチュードにおける「見る」「話す」とは、実は自分の赤ちゃんや恋人に対して当たり前のように行っていたことですが、子供が成長し、また結婚生活が長くなるにつれ(夫婦関係が冷えてくるにつれ?)、いつの間にか忘却の彼方に消えてしまうようです(笑)。

 

過去に忘れ去られてしまったある日の姿を思い出し、介護の現場だけでなく、様々な場面でのコミュニケーションにも応用していきたいものです。




2019年7月1日(月)


 第77話 4つの幸せ


投稿:院長

患者さん、ご家族、地域、職員とかけて、その4つをごちゃ混ぜにするととく、その心は?

 

幸せ(四合わせ)

 

ということで、職員に対して当クリニックの理念を考えてほしいと要望していたところ、「私達は、患者さんの幸せ、ご家族の幸せ、地域の幸せ、職員の幸せを願い、行動します!」ということで決定しました。

 

私達は、「4つの幸せ」を願い、診療活動を続けていきますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

ちなみに始めに記した語呂合わせ(謎かけ)は、最初から狙っていたものではなく、院長の私が後で勝手に考えたものです。




2019年6月27日(木)


 第76話 計算高い人生


投稿:院長

現在、認知症予防の様々な取り組みがなされていますが、今注目を集めているのが簡単な計算問題に取り組むことです。

 

東北大学の川島教授によれば、計算問題に取り組んでいる時と音読をしている時に、脳の前頭前野という部分がとても活性化するそうです。

 

前頭前野という部分は、人が思考したり、行動や感情を抑制したり、意思を決定したり、意識や注意を集中したり、やる気を引き出したりする、いわば脳の司令塔です。

 

昔から算数や数学は苦手で、「えっ計算?」と拒否反応を示す方もいるかもしれませんが、その人に合った簡単な足し算や引き算などでもOKです。

 

ここで大切なのが、学習をサポートする人と楽しく対話しながら行うことです。

 

そういえば、小学生の頃は大人と一緒に計算や音読で勉強していたものですが(それを見守る大人は、楽しいどころか殺伐とした雰囲気?だったかもしれませんが・・・)、昔のように学習するということかもしれません。

 

認知症の方がこの方法に取り組むと、記憶力の向上以外に、笑顔が増えた、意思をしっかり示すようになった、意欲的になったなど精神面の効果も期待できるそうです。

 

私が担当しているある患者さんは、毎日、デーサービスで配られた計算問題に取り組んでいます。

 

枕もとには、若い時に使っていたソロバンが置いてあり、ソロバンを駆使しながら計算に励んでいます。

 

最初は1桁の足し算と引き算でしたが、私が訪問するたびに桁が増え、今や3桁以上の掛け算を解いてしまいます。

 

診察ではいつも楽しい話題と笑顔が絶えず、意欲的に生活する姿も「桁違い」。

 

歳をとったら、自分の脳の利害や損得に敏感な、「計算高い人生」を目指したいものです。




2019年6月25日(火)


 第75話 様と呼ぶか、さんと呼ぶか


投稿:院長

以前、患者さんの名前を「〇○様」と呼ぶべきか「○○さん」と呼ぶべきか議論がありました。

 

「〇○様」という呼び方は、「お客様は神様」という発想が無関係ではないように思いますが、そこにはサービスを提供する側と受ける側が一方的で、プライベート的要素のないビジネスが根底にあります。

 

一方、医療はどうかというと、医療者は患者さんのプライベートを含む背景まで掘り下げて一緒に考えたり、時には冗談を言い合ったりしながら、単なるビジネスとは言い切れない長期間にわたる関係性を築いていくことが多くあります。

 

そんな状況の中で、いくら敬意を示す必要だからと「〇○様」と呼ぶのは違和感があるし、まして、アットホームな雰囲気が必要とされる在宅医療ではなおさらです。

 

しかし、だからと言って、外国のように初対面からファーストネームで呼んだりするのは一般的な日本人には馴染まないでしょう。

 

そんな日本で、相手を「○○さん」と呼ぶ言い方が広まったのはとても絶妙と感じます。

 

もともと「○○さん」という言い回しは、「○○様」から転化したようですが、今では親しみを表す言葉として広く使われています。

 

例えば、身内に対しては、おじいさん、おばあさん、おとうさん、おかあさんだったり、職業別には、お医者さん、看護師さん、お巡りさん、運転手さんだったり、人間以外にも、象さん、お猿さん、アヒルさんなどと親しみを込めて呼んだりします。

 

日本では、年配の夫婦がお互いのことを「おとうさん」「おかあさん」などと呼んだりしますが、これは子供達が両親を呼ぶ言い回しが、いつの間にか夫婦の間でも共有されるようになったものと考えられます。

 

私は、夫婦の間で「おとうさん」「おかあさん」と呼び合っているのを聞くと、とてもほのぼのとしたものを感じます。なぜなら、そこには親しみだけでなく、配偶者としての信頼やねぎらい、子供達にとって良き父親、母親であるという意味が込められているような気がするからです。

 

ということで、「〇○さん」は、相手に対して様々な意味を込めることができる、とても日本らしい表現だと思いますし、これからも様々な場面で使っていきたいと考えています。

 

今日は少々長くなってしまいましたが、最後まで根気よく読んでくれた「皆さん」、どうも「ご苦労さん」でした。



2019年6月21日(金)


 第74話 癒しの効能


投稿:院長

昨日は、診療を非常勤ドクターにお願いし、某病院で毎年恒例の人間ドックを受けてきました。

 

私は人間ドックを受ける時、いつも医者であることを隠しています。

 

なぜなら、医師であることがわかると相手が身構えるだろうし、普通の受診者らしく振舞うことで、その病院の普段の接遇がわかるからです。

 

そしていよいよ胃カメラ(上部消化管内視鏡)の順番がやってきました。

 

少々緊張している私に向かって、介助して下さった看護師さんは終始、私の背中に手をかざしながら優しく声掛けして下さいました。

 

「星野さん、肩の力を抜いてリラックスして下さいね〜」

「星野さん、カメラが胃まで来ましたからね〜」

「唾が溜まったら自然に吐き出して良いですからね〜」

「お疲れ様でした〜。星野さんとても上手だったですよ〜」

 

こうして、看護師さんの優しい介助のおかげで、先ほどまでの不安が嘘のように検査を終えることができました。

 

きっと、胃カメラの操作がどんなに卓越していたとしても、ぶっきらぼうなドクターの態度を緩和するような看護師さんの存在なくして楽に検査を受けることができなかったに違いない・・・そう感じました。

 

こうして、看護師さんによる癒し(声掛けする時に必ず語尾を伸ばす)というのはとても偉大なものだと再認識できました。

 

この病院の個人的な評価は・・・もちろんA判定。

 

ちなみに、一緒に人間ドックを受けた妻の評価は・・・「マンモグラフィーはとても痛かった!」で辛口のC判定でした。

 

どうやらこちらにも「癒し」が必要だったようです。




2019年6月18日(火)


 第73話 美しい日本語


投稿:院長

病院やクリニックでは、女性職員の占める割合が多く、訪問診療の仕事でも、院内の事務職員、ケアマネージャーさん、看護師さん、介護士さんなど女性とやり取りする機会が非常に多いです。

 

医師としてこちらから指示を出す場合、相手から「わかりました」、「了解しました」と返答をもらうケースが多いのですが、実は最近のビジネスマナーでは「了解しました」を目上の人や取引先に使うのは、失礼にあたるのだそうです(私自身は失礼だとは全然思っていなかったのですが・・・)。

 

先日、ある訪問看護師さんと電話でやり取りした際に、「かしこまりました」とさりげなく返事を頂いたことがあったのですが、とても新鮮で、女性らしく柔らかな、美しい日本語だと感心しました。

 

調べてみると、「かしこまる(畏まる)」という言葉には、「目上の人に対して畏れ敬う(おそれうやまう)」という意味があり、「依頼などを謹んで承る(うけたまわる)」ということになるのだそうです。

 

自分の依頼を快く“慎んで承ってもらえる”なんてハッピーな気分になるし、自分自身が温かいものに包まれているようで、とても気持ちが和んでしまいますね。

 

ということで、「かしこまりました」という言葉をもっと聞いてみたいと秘かに考えている男子の独り言でした。



2019年6月13日(木)

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