仙台市若林区の診療所  医療法人社団太陽会 仙台在宅支援たいようクリニック 【訪問診療・往診・予防接種】
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院長ブログ



 第64話 高齢者ってすごい パート2


投稿:院長

90歳台のBさんは足の骨折から見事に回復し、歩行器につかまりながら自宅の中を歩けるようになっていました。

 

Bさんの目標は東京オリンピックを観戦することです。

 

しかしある夜、誤ってベッドから転落し、再び足に激痛が走り歩けません。

 

ご家族が「診療所に電話を掛けようか?」と聞いても「こんな時間に先生に迷惑が掛かるから我慢する」

 

さらに「救急車を呼ぼうか?」と聞いても「こんな時間に救急隊の人に迷惑が掛かるから我慢する」

 

こんな調子で一夜を明かしたのでした。

 

翌日、ご家族から連絡があり、自宅に往診したところ、足の付け根がパンパンに腫れあがっていました。

 

「よくこの状態で一晩我慢しましたね。お疲れ様でした」

 

痛いはずのBさんは、そんな状態でも私達を温かく迎えて下さいました。そして最寄りの病院に連絡し、Bさんは入院となりました。

 

そして今、Bさんは無事に手術を終えて自宅で生活されています。

 

歩行は少し大変になりましたが、自分の力で立ち上がり、車椅子に乗ることができます。

 

どんなに痛い思いをしても、他人を気遣う気持ちをけして忘れない高齢者ってすごい!

 

東京オリンピックを元気にテレビ観戦しているBさんの姿が目に浮かびます。

 

(次回はパート3をお送りします)




2019年5月11日(土)


 第63話 高齢者ってすごい 


投稿:院長

在宅医療は文字通り家庭の中に入っていく医療です。

 

患者さんには、「診療日には必ずしもベッドに横になって待っている必要はなく、普段通りの生活をしていて下さい」と話をしています。

 

それは、茶の間でテレビを見ていたり、食事をしていたり、庭の鑑賞や手芸をしていたり、患者さんの普段の様子を観察したいからです。

 

ある日、90歳代のAさんの部屋に入っていくと、ベッド脇のポータブルトイレに座り、用を足されているところでした。

 

慌てて部屋を出ようとすると、Aさんはにっこり笑いながら、「あらっ、来て下さったのね。いつもお世話になって有難うございます」と握手して下さいました。

 

便器に座っている方と握手するのは初めての体験でしたが、何があっても動じず、常に笑顔で接して下さるAさんに敬服してしまいました。

 

どんなことがあっても感謝の気持ちを“水に流したりせず”、常に持ち続けて表現できる高齢者ってすごい!

 

(次回はパート2をお送りします)




2019年5月10日(金)


 第62話 “夢”から日常へ


投稿:院長

いよいよ大型連休も今日で終了し、普段の生活に戻ることになります。

 

今年は10連休という方も多かったようですが、長い休みが即ハッピーというわけではありません。

 

特に職場や学校に通っている場合、長い休みから気持ちを切り替えることが難しく、憂うつな気分で今日を迎える方も多いでしょう。

 

私の場合、52日から5日までの休みの期間中、自分や妻の実家で過ごしましたが(この間は非常勤ドクターに患者さんの対応をお願いしていました)、この期間中も就寝時間と起床時間は普段と一緒、高齢者(両親)の健康相談も普段と一緒、読書や運動、子供の宿題のサポートなどの日課も普段と一緒(笑)という毎日を過ごしていたためか、昨日から始まった1日早い「仕事始め」も、ほとんど苦労せずに切り替えることができました。

 

一方、連休中はかかりつけの医療機関が休診となり、この間に体調を乱し、どこで診察を受けたらよいのか迷ったり、ずっと我慢して過ごしていた方も少なくはないと思います。

 

せっかくの大型連休でストレスを抱えないために、精神面では普段の基本的なリズムを保ったまま生活することと、健康面では万が一のことを想定し事前に準備を整えておくことが大切だと感じています。

 

連休中に夢のような時間を過ごした方も、悪夢のような時間を過ごした方も、夢から上手に切り替えられますように・・・。




2019年5月7日(火)


 第61話 終わりと始まりに思うこと


投稿:院長

平成が終わりを告げ、令和という新しい時代が始まりました。

 

これは、天皇陛下が象徴としての務めを果たせなくなってはいけないという責任感から、自ら退位の意向を示されたことから始まったものです。

 

人生には数々の節目があり、時には卒業という言葉で表されるように、今まで続けてきたことを終了したり、引退したりということがあります。

 

イチロー選手の引退の時のように、それを祝福するべきかという議論があります。

 

続けてきたことをやめることは、時には不本意ということもあるでしょう。しかし、生きている限りそれは必ずやってきます。

 

人があることを終了したり引退したりすることは、それと同時にそれまでの人生を振り返り、気持ちを新たに再スタートする貴重な機会でもあります。

 

私はその時、周りの人々は今までの労をねぎらい、やり遂げてきたことを称賛し、人生の新たなステージを祝福する時にしてほしいと考えています。

 

人はそうされることで、前向きな気持ちで次の段階に向かうことができます。

 

平成の終わりと令和の始まりは、まさにそのような時です。

 

最近、高齢者ドライバーの人身事故と運転免許の自主返上の話題が取り上げられています。

 

確かに免許を返上することは、それまでの便利な生活を手放すという決断が必要です。

 

しかし、不幸が起きてからでは遅いのです。

 

運転からの卒業は、悲しい事故を減らし、きっと自分や周りを幸せにすることでしょう。

 

運転免許を自主返納した方の決断がもっと称賛され、車がなくともその人の豊かな生活を支え、人生の新たなスタートを応援できる社会であってほしいと思います。




2019年5月1日(水)


 第60話 その大丈夫は大丈夫?


投稿:院長

診察や検査の結果の説明を受ける際に、医師から「大丈夫」と言ってもらえると嬉しいものです。

 

しかし、医師がこの言葉を使う場合、大きく二つのことが想定されるので、よく注意して聞く必要があります。

 

その1つは、本当に大丈夫と太鼓判を押す場合です。その時、医師は自信に満ちた表情でその理由をわかりやすく説明してくれます。そして患者さんは、医師の表情と言葉の両方で安心できるのです。

 

そしてもう一方は、確固たる根拠なしにその場を取り繕うために、とりあえず大丈夫と言ってしまう場合です。その時、医師はなんとなく自信がなさそうで、「大丈夫」、「心配ない」という言葉でなんとか患者さんを安心させようとしますが、聞いていてもその理由ははっきりしません。

 

実は、診察や検査の結果というのは、白か黒か明確に線引きできるものばかりでなく、その場で結論を出せない、いわゆるグレーゾーンという場合も多いのです。

 

それではグレーゾーンの場合、医師はどのように説明すべきでしょうか?

 

この場合、現時点ではっきりしないことを正直に伝え、患者さんの気持ちに寄り添いながら今後の方針を具体的かつ誠実に説明してくれる医師が信頼できると思います。

 

時には、いくつかの選択肢を示したり、次回の診察までに他の医師と協議したり、他の医師に紹介したりしてくれるでしょう。

 

逆に、質問に対してイライラしたり、面倒くさそうな態度をとったり、他の医師への紹介を拒んだりする場合は、“大丈夫”でないかもしれません。

 

もともと大丈夫という言葉は、「強くて立派な男子」という意味が語源で、そこから“強くて立派な男子がいれば安心”というところから来ているそうです(ちなみに女性には「女丈夫」という言葉あり、“勝ち気でしっかりとした女性”のことを指すそうです)。

 

私自身、強くて立派な男子とは程遠い体格なのですが、言葉の重みというものを肝に銘じながら大丈夫を使っていきたいと思います。




2019年4月24日(水)


 第59話 “お宝”を探せ


投稿:院長

患者さんが生活している部屋には、今までの栄光を物語る品々が数多く存在しています。

 

長年地域のために尽力され贈られた感謝状や記念品、100歳を記念して県や国から贈られたお祝い状、患者さんが創作した数々の手芸や絵画、若い頃の家族写真、スポーツで入賞した時のトロフィー、釣り上げた巨大なイワナの魚拓、カラオケ大会で優勝した時の表彰状、掛け軸に筆書きされた自筆の書・・・・など数えればキリがありません。

 

そんな中、ある患者さんの診察をした時のことです。

 

何気なくテーブルの上を見ると、数冊の本が重ねられており、その表紙をよく見ると、なんと著者が患者さん自身だったのです!

 

それは、患者さんが30年以上前に書かれた実践的な考古学書でした。

 

実はこの患者さん、古代人がどのような生活を送っていたのか研究している考古学者だったのです。

 

考古学者と聞いて、患者さんの知的かつ探求心旺盛で、ちょっぴり頑固な性格に納得。

 

在宅診療とは、患者さんがこれまでにどんな人生を歩んできたのか、どのような生活を送ってきたのか思いを寄せることから始まるのかもしれません。

 

患者さんの部屋は、まさにその手掛かりを知ることができる宝庫なのです。

 

その中でも、私の心に最も響くものは、患者さんがこれまでの人生で最も輝いていた時(今でも輝いている方は大勢いらっしゃいますが)の貴重な「お宝」。

 

これからも、そんなお宝を“発掘”していきたいと思います。



2019年4月20日(土)


 第58話 救世主の味わい


投稿:院長

在宅医療になくてはならないものの一つに、医療用の経腸栄養剤が挙げられます。

 

経腸栄養剤というと、鼻から通したチューブや胃ろうを使って栄養補給する栄養剤のことか・・・と考えてしまうのですが、今やドリンクタイプの「経口栄養剤」が主流です。

 

今まで、様々な理由で満足な食事摂取ができなくなった多くの患者さんに処方してきましたが、経口栄養剤をきっかけに食事量が安定したという方や、食事はとれないけれど、3食とも栄養剤を飲んで栄養状態が改善したという方は数知れず、私にとっても患者さんにとってもまさに救世主なのです。

 

私がよく処方する栄養剤は、アボットから発売されている「エンシュアリキッド」と大塚製薬から発売されている「ラコール」です。

 

これらの栄養剤は、糖質、タンパク質、脂質の3大栄養素だけでなく、ビタミン、ミネラル、微量元素などの成分もバランスよく配合されています。

 

そしてなんといっても最大の特徴は、その味にあります。

 

例えば、エンシュアリキッドにはバニラ、ストロベリー、バナナ、メロン、コーヒー、黒糖、抹茶の7種類の味があり、ラコールにはミルク、バナナ、コーヒー、コーンスープ、抹茶の5種類の味が揃えられており、多様な味が楽しめるのです。

 

両者の違いをラーメンに例えると、エンシュアは“こってりとした甘さ”、ラコールは“あっさりとした甘さ”で、患者さんの好みに応じて処方することになります。

 

過去には、エンシュアリキッドにあんこを入れて、主食として食事を楽しまれていた方もいらっしゃいました。甘党にはたまりませんね。

 

次に私が期待する風味として、味噌汁、中華スープ、ちゃんぽん、すき焼き、カレー、チキン南蛮、おふくろの味(あれっ?)を、宮城のご当地風味として、ずんだ、宮城芋煮、油麩、くるみゆべし、笹かまぼこ味の登場を心待ちにしていますが(ちょっとローカル過ぎたかな?)、想像を膨らませるだけで、楽しくなってきます。

 

食というのは、人の心まで豊かにしてくれる大事な治療の一つです。これからも患者さんと共に、食の「醍醐味」を存分に味わっていきたいと思います。




2019年4月17日(水)


 第57話 思いやり満開


投稿:院長

宮城県でも桜が満開になり、週末は晴天にも恵まれ、絶好のお花見日和を迎えています。

 

クリニックが診療を担当している多くの患者さんも、ご家族や施設職員と一緒にお花見を楽しまれたようです。

 

すっかり日本の春の風物詩となったお花見ですが、患者さんの中には体が不自由なために、ベッドの上でこの季節を過ごす方も少なくありません。

 

そのような方のために、ある施設職員が、患者さんのベッド脇の壁に見事な桜の花が写ったプリントを貼りだしてくれました。

 

写真は、富士山を背景にした河口湖の桜と大河原の千本桜です。素晴らしい!

 

ところで、写真をよ〜く見てみると、所々にさとう宗幸さんの笑顔が!

 

この粋で少しお茶目な(?)計らいに、患者さんも心和むようなお花見ができたようです。

 

この職員には、「次回も遠山の金さんばりの桜吹雪をよろしく!」と冗談交じりに伝えておきましたが、来年は一体どんな桜が見られるのか今から楽しみです。

 

「この壁に咲いた桜吹雪が、その方(ほう)らの善行をちゃーんとお見通しなんでえ!この思いやり、散らせるモンなら散らしてみろい!」(遠山の金さん風に)

 

これにて一件落着。




2019年4月14日(日)


 第56話 “便利”な表現


投稿:院長

NHK大河ドラマのいだてんでは、主人公の金栗四三さんの日記の内容が語られる場面が出てきますが、日記には「〇月○日 快便」などと、まず始めに便通を記録していたようです。

 

すっきりと排便があった時の爽快感を表現することで、一日一日を気持ちよく過ごそうとしていたことがよくわかります。

 

2017年に日本で初の「慢性便秘ガイドライン」がまとめられましたが、そこには便の回数だけでなく、性状を把握することの重要性が強調されています。

 

改善すべき硬い便の性状を「硬くてウサギの糞のようなコロコロとした便」、理想的な普通便を「表面がなめらかで軟らかいソーセージ状または蛇のようなトグロを巻く便」と具体的に記載されています。

 

さすがに、蛇のようなトグロを巻くという表現は不気味な感じがしますが、表面がやわらかいソーセージ状という表現は、快便を表すにはピッタリだと思います。

 

先日、訪問看護師さんから、いつも便通で苦労しているある患者さんの看護記録がファックスで送られてきたのですが、そこには「両手盛り」の排便があったと記載されていました。

 

看護業界では排便の量についていくつかの表記を使い分けているようですが、「両手盛り」という記載を見た時、看護師さんが“すっきりと出た大量の便を両手にすくって患者さんと一緒に喜びを分かち合う姿”を連想してしまい、とても嬉しくなってしまいました(さすがにそんなことをする看護師さんはいないと思いますが・・・)

 

両手盛りとまではいかなくとも、せめて「表面がなめらかで軟らかいジャンボフランク状の片手盛りの便通」で毎日を気持ちよく過ごしたいものです。




2019年4月11日(木)


 第55話 診療実績公開にあたって


投稿:院長

平成304月から313月までの診療実績の一部をまとめ、このホームページで公開いたしました。

 

居宅と施設を合わせたお看取りは34件となります。

 

総合病院では、手術や治療の件数や生存率が評価につながり、その病院の実績となりますが、在宅診療所は、人生の晩年を迎えた患者さんを担当することが圧倒的に多く、住み慣れたご自宅や施設でお看取りすることは、在宅診療所としての本気度が問われることになり、重要な役割の一つです。

 

また、お看取りするということは、患者さんやご家族の声に耳を傾け、患者さんの普段の生活や生きざまに寄り添うことによって成り立つ神聖なものです。そう考えると、在宅診療に関わる医療者として改めて身の引き締まるような思いを感じています。

 

振り返ってみると、時にしんどい思いをしながら、けして礼節さを失わない患者さんの謙虚さ、振る舞い、包み込むような穏やかな表情にどれだけ支えられてきたことでしょう。

 

そして、私たちのような小さなクリニックの医療は、ケアマネージャーの皆さん、訪問看護ステーションの皆さん、介護職員の皆さんの協力なくして成り立ちません。

 

また、診療実績には載せていませんが、患者さんの病状の悪化で近隣の病院に紹介させて頂くことも少なからずありました。そして入院となった場合でも、適切な治療を受け、患者さんの多くが無事に退院され、再び私たちが関わらせて頂くことができました。

 

たいようクリニックという名には、患者さんを温かく見守り、それを力強く支えていきたいという意味が込められていますが、温かく照らされていたのは私たちかもしれません。

 

この場を借りて、私たちの診療活動を支えて下さった数多くの方々に感謝をお伝えしたいと思います。

 

これからも、たいようクリニックは、謙虚にそして真摯に診療に取り組んで参ります。どうぞよろしくお願いいたします。




2019年4月8日(月)

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