仙台市若林区の診療所  医療法人社団太陽会 仙台在宅支援たいようクリニック 【訪問診療・往診・予防接種】
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院長ブログ


 第184話 ありのままの自分
投稿:院長

病気を克服するためには、絶対にあきらめない強い意志を持つことが必要です。

 

しかし、医学がどんなに発達したとしても、最も優れた治療を受けたとしても思い通りの結果にならないことがあります。

 

特に、まだやるべきことがある、まだやりたいことがある場合、現状を受け入れられずに人は深く悩みます。

 

今まで、子供たちにとって強くて逞しい父であった場合はどうでしょう?

 

「子供たちにとっていつまでも強い父であり続けたい」

「弱い自分の姿を子供たちに見られたくない」

 

もしかしたら、そういう思いが、本音で語り合うことも、一番必要としている家族の力を得ることも妨げているかもしれません。

 

私たちは、人間である以上、いつか弱っていく自分と対峙する勇気が必要なのです。

弱いありのままの自分を、人にさらけ出す勇気が必要なのです。

そして、素直に自分の気持ちを伝えてみましょう。

 

たとえ、ありのままの自分をさらけ出したとしても、人としての尊厳や、今まで築いてきた父としての輝きが何一つ色あせることはありません。

 

これまで自分が歩んできた人生を振り返った時、自分が生きてきた意味を見出し、心穏やかに過ごす力を与えてくれるに違いありません。


2020年9月1日(火)

 第183話 待つということ
投稿:院長

新型コロナウイルスの感染拡大による生活の変化の中で、面会や外出の自粛や制限、身体を動かす時間の減少などにより、約40%の認知症患者に認知機能の悪化が認められたとする報告がありました。

 

その一方で、平時とまったく変わらない様子で生活されている高齢者も大勢いらっしゃいます。

 

そんな高齢者の生活を考えた時、ある一つの共通した特徴が思い浮かびます。

 

それは、大切なご家族の存在はもちろんですが、心待ちにしている人がいるということです。

 

いつも丁寧に身体のケアをしてくれるお気に入りの訪問看護師の皆さん

いつも優しく体を洗ってくれる訪問入浴のスタッフの皆さん

いつもと変わらない包み込むような表情で迎えてくれる教会の牧師さん

いつも自分の孫のように接してくれるケアマネージャーの皆さん

いつも前向きな言葉でリハビリを指導してくれる訪問リハビリのスタッフの皆さん

いつも明るく歓迎してくれるデーサービスやショートステイのスタッフの皆さん

そして私?(笑)

 

この暑い夏の終わりも、もうすぐそこまでです。

 

そして、新型コロナウイルスの感染拡大の終わりも、もうすぐそこまで・・・と信じ、人を信じ、待ち続けたいものですね。


2020年8月28日(金)

 第182話 半沢直樹から学ぶビジネス論
投稿:院長

池井戸潤さん原作の半沢直樹シリーズのドラマが人気です。

 

金融市場を取り巻くビジネスの世界の光と闇を描いた番組で、「倍返し」という言葉がすっかり有名になりました。

 

しかし、堺雅人さん演じる半沢直樹が、部下に対してビジネスマンとしてのプライドや誇りを伝え、彼らにエールを贈る場面は、医療者にとっても心に響く言葉が多いのです。

 

ということで、このドラマを見る時、メモが必需品になりました。

 

今日は、そのうちのいくつかを紹介したいと思います。

 

仕事に対する姿勢

「忘れるな。感謝と恩返しだ。その二つを忘れた未来は、ただの独りよがりの絵空事だ。これまでの出会いと出来事に感謝し、その恩返しのつもりで仕事をする。そうすれば明るい未来が開けるはずだ」

 

仕事の大原則

「仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れた時、人は自分のために仕事をするようになる。自分のためにした仕事は、内向きで、卑屈で、醜く歪んでくる」

 

正しい組織論

「一つ、正しいことを正しいと言えること、一つ、組織が世間の常識と一致していること、一つ、ひたむきで誠実に働いたものがきちんと評価されること」

 

勝ち組とは

「どんな会社にいても、どんな仕事をしていても、自分の仕事にプライドを持って、日々奮闘し、達成感を得ている人を本当の勝ち組と言うんじゃないかと、俺は思う」

 

伝統とは

「どんなに素晴らしい伝統も、それに縛られて生きる力を失えば未来を引き継ぐことはできない」

 

半沢直樹の言葉に、エネルギーをもらう人もいれば、頭が痛い人もいるでしょう。

 

半沢直樹は、自分を陥れようとする上司、時には巨大な権力を目の前にしても、臆することなく主張し、渡り合い、まるで理不尽な世界に悩む人の代弁者になっているかのようです。

 

しかし、打倒しても打倒しても、もぐら叩きのように次から次への現れる敵を前に、相当なストレスを抱えているはずです。

 

いくら正義と言っても、「倍返し」をスローガンして復讐を続ける人生では、けして健康でいられません。半沢直樹には、このシリーズが終了してからでよいので、「恩返し」の精神で、心穏やかに過ごしてほしいと思っています(笑)。



2020年8月25日(火)

 第181話 時が早く過ぎてしまう理由
投稿:院長

今年も正月を迎えたと思ったら、あっという間にお盆が過ぎてしまいました。

 

年齢を重ねるにしたがって時間の経過がとても早く感じられてしまうのですが、これには理由があるのです。

 

19世紀のフランスの哲学者ポール・ジャネが発案したジャネ−の法則によれば、主観的に記憶される年月の長さは年齢の逆数に比例(年齢に反比例)するのだそうです。

 

つまり、年少者にはより時間が長く感じられ、年長者ほど短く感じられるのです。

 

例えば、50歳の人にとって1年間は人生の50分の1ですが、5歳の子供にとって1年間は人生の5分の1になり、年齢を重ねるほど、1年の相対的な長さがどんどん短くなってしまうというわけです。

 

子供は初めて経験することが多く、一つ一つの出来事に心を動かされることが多いのですが、大人になると、毎日仕事に行っては帰ってくるの繰り返しで生活が単調になり、新鮮味がなくなってしまうのです。

 

そういえば、子供の頃、

朝の全校集会で校長先生の談話がとても長く感じられた・・・。

部活動ではしんどい夏合宿がとても長く感じられた・・・。

つまらない授業がとても長く感じられた・・・。

楽しみにしていた修学旅行や家族旅行までがとても長く感じられた・・・。

なんてことがありました。

 

過去を振り返ると、けして良い思い出だけでないのですが(今となっては良い思い出)、少しでも時間の経過を遅らせたいと思ったら、日々の生活が単調にならないように自分の感情が揺り動かされるような生活を送りたいものです。

 

自分自身は、毎日が単調にならないように4〜5日おきにブログを更新しているのですが、書いて安心したと思ったら、あっという間に時が過ぎて更新期日を迎えてしまうのが悩みです(笑)。

 

まだまだ私の生活も感動が足りないようです。

 

今日はどんな感動(ハプニング?)が待っているのかドキドキ(ハラハラ?)しながら、一日を過ごしたいと思います。


2020年8月20日(木)

 第180話 お盆の風景
投稿:院長

お盆は亡くなった祖先の精霊を迎えて感謝を捧げる日本の大切な行事の一つで、お墓参りするのが習わしです。

 

8月14日、ある患者さんの自宅マンションを訪問した際、隣の寺に広がる墓地を見渡したところ、それぞれの墓前はたくさんの花が飾られており、故人といつまでも心の中で繋がっている人の優しさに触れた感じがしました。

 

しかし、今年は、コロナの影響で外出を控えたり、親族が集まることができなかったり、体力が落ちてお墓参りができなくなったという方も少なくありません。

 

そんな、ある患者さん宅では、自宅の中に新たに祭壇を設けて、丁寧にお供え物や花を添えられていました。

 

そして、お墓や仏壇のお供えには線香が欠かせません。

 

古代の仏教には、死者はにおいだけを食べるとされ、良い香りの線香をあげることは、個人の霊を鎮め、極楽に導くという想いが込められているのだそうです。

 

そして、線香の香りは、私たち自身の煩悩を鎮め、心身を清めるという役割もあり、私自身、この香りを感じるといつも身が引き締まる思いになるのです。

 

今年のお盆は、訪問診療で着衣にしみ込んだ線香の香り(蚊取り線香の香りも混じっていますが・・・)と亡くなった私の祖父母や父の在りし日の姿を感じながら心穏やかに過ごしたいと思っています。



2020年8月15日(土)

 第179話 終戦記念日を前にして
投稿:院長

8月15日の終戦記念日を前に、この時期は太平洋戦争や原爆投下の話題がメディアでも取り上げられます。

 

多くの犠牲者を出した戦争。

 

戦争を知らない私たちでも、そこから何を学ぶことができるのか、何を学ぶべきか考えることができます。

 

2016年、当時のバラク・オバマ米国大統領が現職の大統領として初めて被爆地・広島を訪れ、演説を行いました。

 

オバマ大統領は、演説の中で「なぜ私たちはここに来るのでしょうか?広島へ」と何度も問いかけ、そして語りかけます。

 

そして最後の問いかけの中で「愛する人たちのことを考えるかもしれない、そのためにです。子供たちの朝の微笑み。食卓でそっと触れる伴侶の手のやさしさ。心地よい親の抱擁。そして知るのです。それと同じ家族のかけがえのない瞬間が71年前にあったことを。犠牲になった方は私たちと同じなのです」と述べています。

 

原爆を開発製造し、広島・長崎への投下に主導的な役割を果たした米国の軍幹部は、数年後被爆地を訪れ、徹底的に破壊された街や、後遺症に苦しむ人を目の当たりにして、「広島と長崎は、この恐ろしい兵器が私たちの手で、そして私たちに対してけして使用されてはならない理由を示す証である」とその手記の中で述べています(※)。

 

一方、原爆を投下された日本。

 

一部の指導者は、米国が原爆を開発したという情報を得ていたものの、深刻に考えてはいませんでした。そして、多くの犠牲者を出し、最悪の結末を迎えるまで戦争終結の判断を下すことが出来ませんでした。

 

時の指導者の思惑、行動、決断の果てに多くの尊い命が失われる戦争。

 

しかし、今もなお、世界中に、憎悪、差別、誹謗、中傷・・・人々を分断させる力が無くなることはありません。

 

長崎に原爆が投下された後、患者の治療にあたっていたある医学生は、それでも神になお祈りを捧げるクリスチャンをみて、最初はなぜこんな惨い試練を与える神に祈りを捧げるのか疑問に思ったそうです。しかしのちに、「その祈りは、原爆を落とした人も含めて人間が犯した罪に対する謝罪の祈りだったのではないか。全てを失った人間の最高の尊厳を見たのではないかと思うようになりました」と懐述しています(※)。

 

私たちは、一度下した決定や行動の果てに何が起こるのか想像しなくてないけません。

私たちは、一度下した決定や行動を内省する謙虚さを持たなくてはいけません。

私たちは、一度下した決定や行動を時に止める勇気を持たなくてはいけません。

私たちは、人としての尊厳とは何なのか考え続けなくてはなりません。

 

※8月6日に放送されたNHKスペシャル 「証言と映像でつづる原爆投下・全記録」より

 



2020年8月10日(月)

 第178話 とりあえず寝よう!
投稿:院長

Tomorrow is another day.

 

これは、マーガレット・ミッチェルの長編小説「風と共に去りぬ」の主人公スカーレット・オハラが様々な困難に遭遇した時にとおまじないように口ずさむ言葉として有名です。

 

日本語に訳すと「何もかも明日考えよう」「明日はなんとかなるさ」「明日に望みを託そう」「明日は明日の風が吹く」「明けない夜は決してない」などなど、様々な訳し方があり、スカーレット流の建設的な「あとまわし戦略」なのです。

 

翻訳家・文芸評論家の鴻巣友季子さんによれば、講演会のワークショップの中で、この「Tomorrow is another day.」をある高校生に訳してもらったところ、「とりあえず寝よう」という回答があったそうです。

 

鴻巣さんは、この「とりあえず寝よう」という言葉は、微笑ましくも、ご自身にはとてもしっくりくる絶妙な言いまわしで感心されたそうです。

 

そういえば、私も「頭の体操(認知症予防)」で中学校の数学の問題を解いたりしていますが、どうしても答えが出ないとき(負けず嫌いなので回答できるまで絶対に答えは見ない)、一晩寝てから再び問題に向かうとあっさりと問題が解けたりします。

 

さらに、プライベートや仕事上の問題にぶつかったとき、「どんな説明をしよう?」「どんな接し方をしよう?」「どのように解決を図ろう?」と迷うことが少なくないのですが、こんな時も一晩寝ると、寝ている間にふっと自分なりの解決の筋道が頭に浮かんできたりするのです(悩みが深いと眠れないこともあるのですが・・・)。

 

というわけで、ある雑誌で鴻巣さんの体験を読んだ時、自分にも重なることが多く「ああこれだ!」と妙に感激したのでした。

 

ところで、ブログに何を書くか全く思い浮かばなかったときどうするか?

 

とりあえず寝よう!(笑)


2020年8月5日(水)

 第177話 生きるかたち
投稿:院長

最近、筋萎縮性側索硬化症(ALS)という神経難病の患者さんに対する嘱託殺人が話題になりました。

 

この女性は、徐々に進行する病状の中で人工的に生かされていることに悩み、医師に「自殺ほう助」を持ち掛けたとされています。

 

私が受け持つ患者さんにも、同じような病気の方が複数いらっしゃるのですが、中には、人生で今まさに脂が乗り切った中で発症された方もいます。

 

そして、私が知る限り、その半数以上は、食べられなくなった時の人工栄養や人工呼吸は望んでいません。

 

そんな患者さんから感じることは、そうなるまでに精一杯生きよう、そして最期は自然な形でその時を迎えようという意思です。

 

そして、この患者さんは、この瞬間も、残された時間を大切に誠実に生きていらっしゃいます。

 

しかし、一方で、人工呼吸や人工栄養を受けながらも、その中で生きがいを見出し、けして生かされているのではなく、精一杯自分らしく生きようとしている方も少なくありません。そして、その姿は家族の生きがいにもなっているのです。

 

人は同じ病気であっても、生きるかたちは様々です。

 

もちろん、今の日本で、お金を受け取って薬物を投与したとなれば、けして許されることではありません。

 

しかし、亡くなった患者さんが、進みゆく病気の中で「望まない人生」「生かされている人生」と感じるようになるまで、彼女の意思がどこまで届いていたのか、何か他にできることはなかったのかと考えています。


2020年8月3日(月)

 第176話 私設応援団
投稿:院長

独居の高齢者が増え、身体が衰えてくるとだんだん生活に支障が出てくるようになります。

 

独立して実家を離れてしまった子供たちは、親に対して老人ホームへの入所を勧めたりしますが、当の本人は自宅以外での生活を頑なに拒むことも少なくありません。

 

そんな時、親族から「先生から本人を説得してほしい」と依頼されることがあります。

 

このような場合、一般的には、老人ホームとか老人施設という言葉を使うことになりますが、特に「施設」という言葉は、「収容される場所」という印象が強いせいか、なかなか好意的に受け入れられません。

 

そんな私も、かつて、自分の子供たちが言うことを聞かないと「わがままばかり言っていると施設に入れられてしまうよ!」なんて言っていたこともありました・・・。

 

そこで、ネガティブなイメージが付きまとう「施設」という言葉は使わずに本人に説得を試みることになります。

 

「リハビリやお風呂が楽しめる“保養所”に行ってみませんか?」

「安心して生活ができる“設備”を利用してみませんか?」

「至れり尽くせりで快適に過ごせる“住宅”に行ってみませんか?」

「皆が助け合って暮らす“仲間”になってみませんか?」

 

とまぁ、さまざまな誘い文句を駆使してみるのですが、説得する私も内心は「できるだけ住み慣れた自分の家で生活させてあげたい」と考えているせいか、イマイチ本気になれず、説得が成功した試しがありません。

 

長年自宅で生活してきた高齢者にとって最も快適な生活空間とは、清潔な床や壁、クリーニングが施された寝具、バランスの良い食事ではなく、家族のにおいが染み込んだ柱や畳、窓から眺められる庭の松や花、ちょっと古くなった布団、食べ慣れた茶碗や箸だったりするのです。

 

ということで、私自身は、老人施設の入所を勧める“施設応援団”ではなく、それぞれの生活を支える“私設応援団”の役目を果たして行きたいと考えています。

 

「住み慣れた場所で自分らしく生活できるよう、お手伝いさせてもらえませんか?」


2020年7月14日(火)

 第175話 愛情表現
投稿:院長

夫が妻に対して、自分の愛情の気持ちを伝える機会は少ないのではないかと思います。

 

特に、高齢の方ほど、妻の存在は当たり前になりすぎて、今さらそんな言葉を連想することさえなってしまったか、本心ではそう思っていても本人の前では照れて言えないのです。

 

しかし、患者さんの中には、妻に対してちょっと変わった言い方で愛情表現される方がいます。

 

Aさんの診療を行っていた時のことです。

 

Aさんに向かって「何か趣味はあるのですか?」と尋ねたら、返ってきたのが、奥さんの名前で、さらに「今食べたいものは何ですか?」と尋ねても、これもまた奥さんの名前でした(笑)。

 

Aさんにとって奥さんの存在とは、自分の中に取り込んでしまいたいくらい大切なものだったんですね。

 

話が変わりますが、ご自宅でお亡くなりになったBさんの奥さんに、後日、挨拶に伺った時のことです。

 

そこで、奥さんが自宅でのBさんの様子を私に語ってくださいました。

 

それは、Bさんが亡くなる数日前、奥さんに向かって感謝の言葉とともに「お前がいてくれれば何も要らない」と話されたそうです。

 

Bさんにとって奥さんの存在とは、自分の癒しそのものだったのですね。

 

Bさんの奥さんは、その言葉を胸にこれからも力強く生きていかれるでしょう。

 

「お前がいてくれれば何も要らない」

 

こんなかっこいい言葉を言えるかな?

 

やっぱり(恥ずかしくて?)言えないな・・・。


2020年7月8日(水)

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