第149話 新型コロナウイルスに備えるために−誰にでもできる腸活の可能性パート1 |
投稿:院長 |
ヨーグルトや乳酸菌飲料、食物繊維などは、一般的に健康によい食べ物として漠然と考えられていますが、その効果は便通や便の性状を改善させるだけではありません。
一般的に、「適切に摂取することで人の腸内環境を改善し、健康に有益な働きをする微生物」をプロバイオティクス(※)と呼び、「腸内に定着している細菌を活性化することにより、摂取した人の健康に有益な働きをする食品」をプレバイオティクス(※)と呼びますが、近年、乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスや、オリゴ糖や食物繊維などのプレバイオティクスが感染症に関わる免疫機能に影響を与えているということがわかってきました。
10の研究を解析した論文では、プロバイオティクスを継続的に摂取すると、上気道炎のエピソードが有意に減少することが明らかとなっています(少なくとも1回のエピソードに対するオッズ比0.58)
また、12の研究を解析した論文では、インフルエンザワクチン接種を行う前に、プロバイオティクスまたはプレバイオティクスを経口摂取すると、摂取しない群に比べて、ワクチン接種後の抗体価が有意に上昇することが明らかとなっています(ワクチンを接種しない群に比べて、インフルエンザA型/H1N1で20%、インフルエンザA型/H3N2で19.5%抗体価がそれぞれ増加)
また、9の研究を解析した別な論文では、インフルエンザワクチン接種を行う前に、プロバイオティクスまたはプレバイオティクスを経口摂取すると、摂取しない群に比べて、ワクチン接種後に感染防御レベルの抗体価を保有する人が有意に増加することが明らかとなっています(インフルエンザA型/H1N1でオッズ比1.83、インフルエンザA型/H3N2でオッズ比2.85)
一般的に、インフルエンザワクチンは、子供や若い成人でその有効率が70〜90%とされているのに対し、65歳以上になると30〜40%に減弱してしまうことが報告されていますが、これらの食品は、高齢者のワクチンの予防効果を高めることが期待されています。
また、これらの研究から言えることは、より長期間摂取した方がその効果が高まること(適切な量とはどれくらいなのかまだはっきりしませんが)、プロバイオティクスの種類により効果が変わってくる可能性があること、プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂取した方が、単独で摂取するよりも効果が高まる可能性があることです。
プロバイオティクスとプレバイオティクスがどのように免疫機能に影響するのか、様々なメカニズムが考えられていますが、プロバイオティクスは、マクロファージや好中球などの貪食機能を高めたり、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化したり、IgAをはじめとする抗体の分泌を増加させたりするのに対し、プレバイオティクスは、インターフェロンγの分泌やNK細胞を活性化することが指摘されています。
九州大学の研究チームは、マウスを用いた実験で、腸内細菌の中でもグラム陽性菌に分類される細菌群(ちなみに乳酸菌やビフィズス菌もグラム陽性菌に含まれています)がインフルエンザに対する免疫応答に役立っている可能性があること、ある特定の腸内細菌は、肺の細胞内にあるウイルスや細菌の認識に関わるインフラマゾームと呼ばれるセンサーを活性化して免疫応答の誘導に重要な役割を果たしていることを明かにしました。
プロバイオティクスとプレバイオティクスが、新型コロナウイルスの感染予防に効果があるのか明らかではありませんが、これらが免疫機能を強化する働きは、一部の感染症に対してだけではないはずなので、一定の効果が期待できる可能性はあると思います。
マスクはいまだに不足した状態が続いていますが、スーパーに行けば、多くの種類のプロバイオティクス、プレバイオティクスが並んでいるではありませんか!
毎日の継続的な「腸活」で、健康的な食生活を送っていきましょう!
次回は、種類がたくさんありすぎてよくわからないこれらの食品について整理し、腸内細菌(腸内フローラ)に与える影響などについて考えてみたいと思います。 ※細菌を死滅させる抗生物質のことを英語でアンチバイオティクス(antibiotics)と呼び、対抗するという意味を表すアンチという接頭語がついているのに対し、プロバイオティクス(probiotics)は賛成するという肯定的な意味を表すプロという接頭語がついて細菌と共生するという意味が込められ、プレバイオティクス(prebiotics)はプレという前へという意味を表す接頭語がついて細菌の活動を前に進めて活動を助けるという意味が込められています。 |
2020年3月22日(日) |
第148話 新型コロナウイルスに備えるために−誰にでもできる口腔ケアの可能性 |
投稿:院長 |
このほど、英国のランセットという有名な医学雑誌に、新型コロナウイルスに感染して中国の病院で治療を受けた入院患者の死亡の危険因子や合併症などが報告されました。
この中で私が注目したのが、死亡した患者の半数で細菌による2次感染を合併したのに対し、生存した患者では細菌による2次感染は1%ほどだったということです。
死亡した患者の98%に抗生物質が投与されていたのですが、細菌による2次感染を起こしてしまうと、その後の予後に大きく影響することがわかります。
インフルエンザでも、インフルエンザに罹患した後に、肺炎球菌などによる2次感染が起きやすいことや、2次感染が起きてしまうと重症化しやすいことが示されており、インフルエンザが細菌の感染を助長するような様々なメカニズムが明らかになっています。
それでは、その反対に、細菌の存在がインフルエンザウイルスの感染を助長するのでしょうか?
感染した人の細胞内で増殖したインフルエンザウイルスが細胞外に放出されて拡散する際に、ノイラミニダーゼ(NA)という糖たんぱくが必要ですが、ある研究では、人の口腔内や気道に存在する細菌の7菌種(特に肺炎球菌)にNAを産生する性質があり、この細菌由来のNAがインフルエンザウイルスの増殖を助けていることが明らかになっています。
ちなみに、このNAを阻害する薬剤が、タミフルやリレンザなどのNA阻害剤です。
さらに、インフルエンザウイルスが人の細胞に侵入する際に、ヘマグルチニン(HA)という糖たんぱくが必要なのですが、口腔内や気道に存在するブドウ球菌や歯周病菌には、このHAを活性化するプロテアーゼという酵素を産生するものがあり、インフルエンザウイルスの感染を助けている可能性が指摘されています。
実際の臨床研究をみてみると、日本の介護施設に通所している高齢者に対して、歯科衛生士による週1回の口腔ケアを実施すると、セルフケアを実施した高齢者に比べて、半年の期間中にインフルエンザの発症率が10分の1になったという驚くべき研究結果が報告されています。
そして、口腔ケアを行った群では、唾液中の細菌数、唾液中のNA活性、唾液中のトリプシンというプロテアーゼ活性の低下が認められたのです。
実は、新型コロナウイルスは、トリプシン様プロテアーゼを使って人の細胞に侵入することが分かっているのですが、主要な歯周病菌の一つであるジンジバリス菌は、トリプシン様プロテアーゼを産生・分泌することが明らかとなっています(この2つは同じ構造というわけではなさそうですが)。
さらに、本日3月18日、東京大学の研究チームによって、ナファモスタットという膵炎の治療を行う薬剤に、新型コロナウイルスの感染を阻害する可能性があることが発表されました。
ナファモスタットというのは、まさにこのプロテアーゼを阻害する薬剤のことなのです。
口腔内の歯周病菌を始めとした細菌が、新型コロナウイルスの感染を助長しているかどうかいまだに明らかにされていませんが、様々な事実を積み重ねていくと、歯周病対策による口腔内の衛生が新型コロナウイルスの感染防御に役立つ可能性は残されていると思います。
さらに、忘れてはならないのが、唾液には、運動と免疫力で触れた分泌型IgA抗体や、ラクトフェリン、リゾチームなど抗ウイルス作用を持ったたんぱく質が含まれており、感染防御の最前線の働きを担っていることです。
年齢が進むと唾液の分泌量が落ちてくるのですが、唾液の分泌を促すために、適度な水分を摂取し、マスクで口腔内の湿度を保ち、よく噛んで食べることがとても大切です。 歯周病は、口の中の問題だけでなく、狭心症や心筋梗塞などの心臓病、脳梗塞、動脈硬化、糖尿病、骨粗鬆症といった病気のリスクになることも明らかになってきています。
しっかりとした口腔ケア(※)で、自分の健康を守っていきましょう! ※口腔ケアのコツとしては、「歯と歯茎の間の入り込んでいる細菌を掻き出すイメージで歯ブラシを小刻みに横に動かす」、「歯と歯のすき間には歯間ブラシやデンタルフロスを使う」、「舌の表面に付着している細菌に対して歯ブラシで舌の奥から手前に向かって軽くこするように舌の表面を磨く」だそうです |
2020年3月18日(水) |
第147話 新型コロナウイルスに備えるために−運動と免疫力の関係 |
投稿:院長 |
生活習慣病の改善や予防など、健康面での運動の有効性が知られていますが、免疫に対する効果はどうなのでしょうか?
米国の研究者の報告では、定期的に適度な運動(45分の週5回の速歩)を行うと、運動を行わない場合に比べて気道感染の回数や有症状期間が半減することが示されています。
これ以外にも様々な研究で、適度な運動を行うと、風邪やインフルエンザなどの感染症のリスクやインフルエンザに関連した死亡率を減らすことが示されています。
逆に、激しい運動は感染症のリスクを増やすことが示されており、ハードなトレーニングを行うアスリートは一般の人よりも3倍も風邪を引きやすいそうです。
したがって、感染症の予防においては、運動不足でも過度な運動でもない「中等度で適度な運動」が推奨されています。
適度な運動が感染症のリスクを減らし、激しい運動が感染症のリスクを高めることは、細胞レベルでも検証されており、特に、ウイルスの免疫で重要な働きを担っている血液中のナチュラルキラー細胞(NK細胞)や抗体(IgA)の働きとの関連が示されています。
このうち、粘膜や気道に分泌される分泌型のIgAは、これらの場所において感染防御の最前線の役割を担っているのですが、唾液中のIgAは、加齢とともにその濃度が減少していくことが知られています。
日本の研究者からは、高齢者であっても適度な運動を継続すると、3年以上にわたって唾液中のIgA濃度や分泌速度が継続して増加傾向を示すこと、逆に激しい運動を行うアスリートは唾液中のIgA濃度が低下することが報告されています。
さらに、感染症に対する過剰な免疫反応により、自身の臓器・組織にダメージを与えることがあるのですが、運動はリンパ球を中心とする免疫反応(細胞性免疫)と抗体を中心とする免疫反応(液性免疫)のバランスを調整する働きがあることも指摘されています。
それでは、適度な運動とはどれくらいの強度なのでしょうか?
専門書を読むと、健康な方であれば最大心拍数(220−年齢)の50%から60%の負荷(速歩程度の負荷)で30分くらい、週3回以上などが一つの目安になります。
また、東京都健康長寿センター研究所では、高齢者5000人を対象として、15年以上にわたって日頃の身体活動と様々な病気の有病率との関係を調査しています。
それによると、1日8000歩/中強度運動(速歩)を20分行うと、うつ病、認知症、心疾患、脳卒中、がん、骨粗しょう症の有病率が低くなること、1日1万歩〜1万2000歩になると、これらの病気の予防効果は8000歩と変わらなくなり、むしろ疲労による免疫力の低下をきたす可能性があるとして、研究者は1日8000歩/20分ほどの中強度運動を勧めています。 さらに、別な研究では、1日に7000歩前後歩く高齢者で唾液中のIgAレベルが最も高かったことが報告されています。 現在、新型コロナウイルスの感染が広がり、室内で過ごす方が増えていると思いますが、一部を除き、外出そのものを制限するよう求められているわけではありません。
人混みや換気の悪い室内を避け、春の到来を感じながら、それぞれが思い思いのコースを歩いてみてはいかがでしょうか?
心地よい汗や自分と対話するひと時が、新しい自分を再発見させてくれるかもしれません。
※運動不足の人はもっと軽い負荷から始めて下さい。また、病気を抱えている人は、くれぐれも主治医の先生とよく相談して取り組んで下さい。 |
2020年3月15日(日) |
第146話 新型コロナウイルスに備えるために−喫煙との関連について |
投稿:院長 |
喫煙は、様々な病気のリスクになっていますが、新型コロナウイルスとの関連も含めてもう一度整理してみたいと思います。
中国で新型コロナウイルスに感染した患者さんのデータがまとめられていますが、それによると、心血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患、高血圧、がんなどが、死亡リスクを高める基礎疾患とされています。
一方、最近になり、各国の専門家から喫煙が新型コロナウイルス感染の重症化の要因になっているという指摘が相次ぎ、注目されています。
中国では、男性の死亡率が女性よりも3倍ほど高いのですが、その要因として中国人男性の高い喫煙率(男性は50%以上、女性は数%)が挙げられています。
また、中国の病院に入院した患者78人のデータでは、やはり、喫煙歴のある人は重症化する割合が有意に多かったという結果でした(オッズ比14)
実は、新型コロナウイルスは、肺胞のアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)という受容体を介して人体に侵入することが明らかにされていますが、ある専門家は、喫煙はこのACE2の発現を著しく増加させるという報告をしています。
また、喫煙はインフルエンザの発症リスク、入院のリスク、重症化するリスクをいずれも高めることが明らかにされており、喫煙者のインフルエンザに対する抗体の減弱や、ワクチンの効果の減弱が指摘されています。
さらに、1日にタバコを1本吸うだけで肺炎球菌による肺炎のリスクが2倍になると報告されています。
喫煙とがんの危険性についても、すでにご存知の方も多いと思いますが、放射線の被ばくによるがんのリスクと比較してみると、100ミリシーベルト(※)の被ばくによる全がんの相対危険度は1.005倍とされている一方、喫煙している人の全がんの相対危険度は1.5倍程度(肺がんは3.7)とされていますので、喫煙自体が大量の放射線を浴びているのと一緒ということになります。
ちなみに、原発事故により住民の方が避難を余儀なくされた帰還困難区域は、「放射線の年間積算線量が50ミリシーベルトを超え、5年間を経過しても年間積算線量20ミリシーベルトを下回らないおそれのある地域」とされていますので、喫煙の危険性の大きさが理解できると思います。
この機会に、ぜひ禁煙に取り組んでほしいと思います。
(※)ちなみに、1回あたりのCTの被ばく線量は部位によって異なるのですが、5〜30ミリシーベルトとされています。 |
2020年3月12日(木) |
第145話 新型コロナウイルスに備えるために−換気の効果について |
投稿:院長 |
ライブハウスなど密閉空間での集団感染がニュースで報告されています。
3月から全国の学校が休校となり、政府の対応に賛否両論がありますが、それでも託児所、飲食店、オフィス、医療機関など室内での人の活動はゼロにはできません。
今まで、マスク、手洗い、うがい、消毒など個人レベルでの対策に関心が集まっていましたが、密閉空間での集団感染のリスクを減らすような組織的な対策も大切です。
新型コロナウイルスなど飛沫感染を起こすようなウイルスの飛沫は直径5㎛とされ(1μmは1oの1000分の1)、この大きさで地上までの落下速度は30〜80p/秒とされており、身長が160p程度だと2秒〜6秒ほどで地上に落下することになります。ただ、それ以下の大きさになると、空中を漂う時間が長くなり、室内の広範囲に飛散する危険性が高まります。
そのようなケースで、最も有効な方法が換気です。
現に、換気によるウイルス感染のリスク低下を示したデータが蓄積されてきています(クルーズ船の対応については様々な意見があり、私も詳しいことはわからないのですが、船内の換気は最も優先度の高い対応の一つだったのではないかと思われます)。
2002年から2003年に流行したSARSは、別な種類のコロナウイルスがその原因ウイルスですが、当時、SARS患者の対応にあたった中国の大学病院で働く医療関係者の感染リスクを調べた研究があります。
それによると、様々な対策と感染リスクを調べた結果、「病室の換気を行う」、「手袋を2重に装着する」、「SARS患者と顔を近づけることを常に避ける」ことが、医療関係者の感染頻度を有意に低下させたと結論づけています。
そして、この調査では、空調などの人工的な換気に比べ、窓を開けるなどの自然な換気(オッズ比0.4)や、自然な換気と一緒に電動ファンを使うなど空気の流れを作る換気(オッズ比0.27)が特に有効だったそうです。
この論文には、具体的にはどのような換気を行ったのか触れていないのですが、一般的には、部屋の対角線上にある2か所の窓を開けて空気の流れを作ること(窓が1か所しかない場合は、窓ガラスの位置を窓の真ん中にして2か所開く)、窓に向かってファンを回して空気の流れを促進させることが勧められています。
換気回数ですが、30分以上も空気中を浮遊する結核菌の90%を除去するためには、1時間に6回以上(1回ごとに数分以上)!の換気が必要とされていますが、新型コロナウイルスに対しては、1時間に1回でも2回でもやらないよりやった方がマシくらいのつもりで、自分たちができる範囲で取り組むしかないと思います。
また、最近は、優れたウイルス除去率を謳っている空気清浄機(+加湿機能)が発売されていますので、常に人が集まる場所には、優秀な日本のメーカーを信じて導入することもあるでしょう。
まだ寒くて、花粉症のシーズンに窓を開けることに対して抵抗感を覚えるのですが、花粉症の予防や治療をしっかりと行い、体を冷やさないよう着衣を工夫しながら、皆の協力を得て一致団結して取り組んでいきたいものです。 |
2020年3月9日(月) |
第144話 新型コロナウイルスに備えるために−感染症に対する解熱剤の使用について |
投稿:院長 |
今回は、感染症などで発熱した時の人為的な解熱について触れたいと思います。
ここでは、熱を下げる方法として、1)クーリングを行う、2)アセトアミノフェン(カロナール、アンヒバなど)を使用する、3)非ステロイド系消炎鎮痛薬(ロキソニン、ボルタレンなど)を使用する、に分けて考えたいと思います。
まず、クーリングですが、敗血性の患者さんに対して積極的にクーリングを行うと、14日後の死亡率が低下するという報告があります(経過に影響を与えないという別な報告もあります)。
次に解熱剤ですが、敗血症の患者さんに対して非ステロイド系消炎鎮痛薬またはアセトアミノフェンを使用すると、28日後の死亡率が、それぞれ2.6倍、2.1倍になったという報告があります。
一方、集中治療室に入室するような重症感染症の患者さんに対してアセトアミノフェンを使用した報告では、患者さんの経過に影響を与えなかったとの結果でした。
インフルエンザの患者さんでは、厚生省の研究班が、小児のインフルエンザ脳炎・脳症とジクロフェナク(ボルタレン)の使用による死亡率との関係を示しており、日本小児科学会では、小児に対して解熱剤を使用する場合はアセトアミノフェンが適切としています。
現在、インフルエンザの成人患者を対象に、解熱剤(アセトアミノフェン、イブプロフェン)の使用とその後の経過を調べた研究が実施されています。
ここで紹介したものは、敗血症とインフルエンザの患者さんが混在しているのですが、以上の結果から、感染症による発熱に対しては、1)まずはクーリングを行い解熱剤の使用は慎重に考える、2)どうしても解熱剤を使用する場合はアセトアミノフェンを使用する、3)非ステロイド系消炎鎮痛薬は避けるべき、と考えられます。
さらに、熱と免疫細胞や感染細胞の関係を実験室レベルで調べた研究を見てみると・・・。
ある日本の研究では、免疫細胞の一種で異物を貪食するマクロファージは、温度センサーを持っていて、37℃付近からマクロファージの活性が高まり、人の発熱域である38.5℃でさらに強く活性化することが明らかになっています。
また、別な日本の研究でも、白血球の1種である好中球は、活性酸素を使って病原体を不活化しますが、37℃付近から高温域で、活性酸素を作るための水素イオンチャンネルの供給が増えることが明らかになっています。
いずれも、病原体が侵入した時の発熱は、免疫細胞を活性化するための「生理的な手段」と考えてもよさそうです。
一方、昨年、東北大学から発表された研究では、1)40℃という高熱は、37℃に比べてインフルエンザウイルスの感染がなくとも細胞障害が生じること、2)インフルエンザの感染がある場合は、40℃という高温は37℃に比べてより細胞障害が生じることが明らかになりました。
ということは、ある程度の発熱は(38.5℃くらい)、感染症に対する白血球の働きを活発にする生理的な反応として許容すべきと考えられますが、40℃にもなると、もはや細胞にダメージが来るような非生理的な発熱として、アセトアミノフェンの使用も正当化されるということなのかもしれません。
発熱に対して、保護者や介護者の心配のために解熱剤を使用していることが少なくありません。
安易な解熱剤の使用について、もう一度考えてみるべき機会なのかもしれません。 ※ここに記載された内容について、電話による個別の健康相談などは行っておりませんので、どうかご了承下さるようお願い申し上げます。 |
2020年3月6日(金) |
第143話 コロナウイルスに備えるために−体温と免疫力の関係 |
投稿:院長 |
体温を上げると免疫力がアップし、低体温だと免疫力が低下することが以前から言われていますが、本当なのでしょうか? 体温を上げる方法として、まず入浴やサウナがありますが、オランダの研究で、週4回以上のサウナを利用する人は、週1回以下の人に比べて肺炎のリスクが約半分に減少したことが報告されています。 また、オーストリアの研究でも、週2回サウナを利用する人は、利用しない人に比べて風邪のリスクが、やはり半分に減少したことが報告されています。 入浴習慣と感染症のリスクについて調べた研究は、検索した範囲では見当たらなかったのですが、日本人の場合はサウナよりは入浴ということになるのでしょうか。 さらに、このほど産業医科大学から、寝室を暖房で温めて寝る子供は、そうでない子供に比べて風邪をひく割合が約4分の1に、インフルエンザの発症が約半分になったという調査結果が報告されました。 いずれも、もっと多数の人が参加するような大規模な調査で実証する必要がありますが、体を温めることにより、感染症に対する免疫力が高まる可能性を示しています(産業医科大学の調査結果は、室内環境が病原体の感染力を低下させたことも要因)。 前回、体のリンパ球は、リンパ節と全身を行き来している話をしましたが、体を温めることにより、血流やリンパ流の流れを促進して、免疫細胞の往来が活発になったり、免疫細胞自身の機能が高まる(これは次回のブログで触れたいと思います)ことが一因と思われます。 それでは、平熱が高い人は、平熱が低い人より長生きするのでしょうか? 米国で3万人以上(平均年齢52.9歳)が参加した研究によれば、平熱が高い人ほど死亡率が高く、0.149℃体温が上昇するにつれ、1年後の死亡リスクが8.4%上昇するという衝撃的な結果でした。 結局、平熱が高いということは、なんらかの理由により代謝が活発になり、酸素の消費量が増して遺伝子にダメージを与える活性酸素が発生しやすいためではないかと推測されます。 この結果から言えることは、平時に、一時的に体を温めるというのは、免疫細胞の準備を整えておくという意味で有効な手段ですが、免疫力を常に戦闘状態(フル活動)にしてしまうとかえって体の害になるため、平熱まで上がらないように、オンとオフをしっかりと切り替えることが大切だということです。 24時間体を「加温」し続けたら、健康に悪いというのは容易に想像できると思います。 やっぱり人の活動というのは、細胞レベルでもメリハリがとても大切なんですね。 |
2020年3月3日(火) |
第142話 新型コロナウイルスに備えるために−睡眠不足と免疫の関係 |
投稿:院長 |
新型コロナウイルス感染症が流行してから、基本的な感染予防策と、食事、睡眠、適度な運動などの基本的な生活習慣を乱さないことが大切だと言われています。 今日は、そのうち、睡眠と免疫の関係について触れたいと思います。 睡眠不足になると免疫力が低下するとよく言われますが、どれくらい違うのでしょうか? 海外では、ライノウイルスという風邪を引き起こすウイルスを点鼻した後、睡眠時間に応じてどれくらい風邪症状が出現したかという恐ろしい研究があるのですが、睡眠時間が5時間以内の人は、睡眠時間が7時間の人に比べ、風邪症状が出現した人の割合は4.5倍になったそうです。 その他、睡眠とがんとの関係でいえば、睡眠時間が6時間以下の人は、睡眠時間が7時間の人に比べ乳がんの発症率が68%、前立腺がんの発症率が38%高まることが明らかになっています。 ちなみに、海外のある国では、夜勤をこなす看護師さんが、乳がんに罹った場合は、医療費を補助するという制度があるそうです。 また、これ以外にも、睡眠障害の人は膵臓がんや大腸がんのリスクが上昇することが知られています。 一方、睡眠時間と死亡率の関係では、日本でも米国でも1万人以上が参加して、5年以上の長期間にわたってその関係を調べた調査があるのですが、睡眠時間が7時間の人が最も死亡率が低いことが明らかにされています。 ここで注意しなければいけないのは、それ以上でも7時間睡眠に比べて死亡率が高くなるので、睡眠時間が長ければよいということではありません。 体内のリンパ球は、交感神経が優位な日中はリンパ節にとどまって免疫応答を学習し、副交感神経が優位な夜間はリンパ節から放出され、体内をパトロールする役目を果たしています。 したがって、この自律神経の乱れは、リンパ球の働きにも大きな影響を及ぼすことが考えられます。 また、実は、私たちの体内では、毎日数多くのがん細胞が発生しているのですが、最前線でもぐら叩きのようにがん細胞を取り除く働きを持つ免疫細胞の一つにナチュラルキラー細胞(NK細胞)というものがあり、睡眠不足になるとこの細胞の働きが低下することが知られています。 結局、人の身体というのは、病原体と免疫力のバランスの上に成り立っています。 病原体に負けないためにも、オンとオフをしっかりと切り替え、自分の身体を守ることが大切です。 「睡眠時間はラッキー7」を忘れないようにしたいものです。 |
2020年2月29日(土) |
第141話 新型コロナウイルス対策 追加 |
投稿:院長 |
新型コロナウイルス対策の追加です。
前回、手指には、70%アルコール消毒とせっけんによる洗浄が、新型コロナウイルスには有効だと書きました。
一方、人が触るものに対する消毒として、次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)も有効だとされています。
次亜塩素酸ナトリウムは、ノロウイルスの消毒にも有効で、宣伝ではありませんが、市販の塩素系弱アルカリ性洗剤で、これにあてはまるのが花王の「ハイター」と「キッチンハイター」になります。
ただし、「ワイドハイター」は、酸性の洗剤になり、効果はないので注意が必要です。
新型コロナウイルスの消毒に使う場合、0.1%(1000ppm)の濃度にしますが、ハイターもキッチンハイターも5%の濃度なので50倍に薄めます。
500mlのペットボトルに、ペットボルのキャップで2杯(約10ml)の洗剤を入れ(500mlのペットボトルのキャップは1杯5mlになるそうです)、水道水を入れて全部で500mlにすると、0.1%になります。
使うときには、キッチンペーパーなどを消毒液で濡らしてから、消毒したいもの表面を拭きます。 10分後にタオルや雑巾などで水拭きします(腐食や変色変性を避けるため)。
ここで注意したいことは ●直接手で触らずに手袋をつける。また、手の消毒には使わない。 ●消毒している間は喚起を行う。 ●誤って飲みこまないように、ペットボトルには必ず注意書きする。 ●小さな子供の手の届かない場所に置く。 ●ステンレス以外の金属は、腐食したりする可能性があり水拭きする。 ●塩素は日光により分解するので、直射日光を避け保存する。 ●時間とともに効力が落ちるので、1日ごとに作り替える。
なお、ブリーチ(英語でbleach、日本語で漂白するという意味)という塩素系洗剤も売っていますが、ハイター(花王の商標登録)のジェネリック薬品のようなもので、成分はハイターとほぼ成分は同じだということです。 |
2020年2月26日(水) |
第140話 新型コロナウイルスについて |
投稿:院長 |
新型コロナウイルスの国内感染が各地で相次いでいますが、個人でできる対策についてまとめてみました。
【新型コロナウイルスとは?】 コロナウイルスは通常、冬場の風邪を引き起こすウイルスとして知られており、風邪の約15%(最大35%)の原因がこのウイルスによるものとされています。しかし、今回、2002〜2003年に流行したSARSウイルスのように、感染力が強く、肺炎を引き起こしやすい高い新しいタイプのコロナウイルスが中国で出現し、世界各地に拡散しているのです。 このウイルスの特徴をいくつか挙げていくと、インフルエンザが主に鼻粘膜や喉などの上気道の粘膜に感染するのに対し、新型コロナウイルスは上気道だけでなく、肺や気管支など下気道にも容易に感染を起こし、これが肺炎を起こしやすい要因になっています。また、インフルエンザが高熱で発症するのに対し、新型コロナウイルスの場合、最初は、咳や鼻水など通常の風邪と同じような軽い症状がだらだら5日以上続き、肺炎で重症化する人ではその後に高熱や呼吸困難などの症状に進展します。また、インフルエンザの潜伏期間が1〜2日であるのに対し、新型コロナウイルスの潜伏期間は約5日(長くとも12日程度)と長いことが特徴です。この比較的長い潜伏期間と、初期の軽い症状の間に他人に感染が広がりやすく、とてもやっかいなのです。また、感染を起こしても80%以上が無症状か軽い症状で改善しますが、重症の肺炎を起こす人もあり、中国で亡くなる人のほとんどは高齢者か糖尿病、心臓病などの基礎疾患をお持ちの方です。致死率は、2.5%程度と報道されていますが、中国では患者数が多く重症化しても適正な医療を受けられない人が多く、検査体制が追い付かず、軽症な人は検査を受けていない場合も多いでしょうから、致死率はもっと下がるのではないかと言われています。 【感染パターン】 新型コロナウイルスの感染パターンは、今のところ、飛沫感染と接触感染とされています。前者は、感染した人のくしゃみや咳で飛散したウイルスを含んだ細かい液体成分(飛沫)が床に落ちるまでに他の人が吸入して感染します(麻疹、水痘などにように、液体成分の抜けた状態でウイルスが空気中を漂って感染することはないとされています)。後者は、手についたウイルスが口や鼻から侵入して感染します。したがって、感染予防として、インフルエンザと同様、飛沫感染と接触感染の予防を行っていくことが大切です。 【マスクの着用は有効か?】 家庭用マスクには、昔から存在するガーゼマスクと、スーパーなどでまとめて売られている不繊布(ふしょくふ)マスクの2種類がありますが、ガーゼマスクは飛沫の捕捉ができないので、ここでは不繊布マスクについて述べたいと思います。 不繊布マスクというのは、いくつかの素材の繊維を不規則に組み合わせて接着させ、網目が狭くなるように作られたマスクを指します。もともとこれらのマスクは、花粉やほこりなどの比較的大きな浮遊物の吸入を防いだり、感染した人が、くしゃみや咳で病原体を含む飛沫を周囲に飛散してしまうことを防ぐ目的(咳エチケット)で作られています。もし、感染した人がマスクなしでくしゃみをした場合、ウイルスを含む飛沫を周囲2mの範囲で拡散させてしまいますが、マスクを着用することで拡散を防ぐことができ、感染を起こしている人がマスクを着用することは理にかなっています。 一方、健康な人がマスクを着用することでウイルスの感染を防げるのでしょうか?現在まで、質の高い研究で、マスクによるインフルエンザの予防効果を示した研究は見当たらず、世界保健機構(WHO)やアメリカ疾病予防センター(CDC)でも、感染予防を目的としたマスクの着用を推奨していません。しかし、研究の質にこだわらなければ、マスクの着用を遵守することで呼吸器感染症やSARSの感染が抑制されたことを示す研究もあり、また、手洗いと一緒に行うことでその有効性を示す質の高い研究もあります。 最近の家庭用の不繊布マスクは、フィルターの性能が向上し、飛沫などの細かい粒子でも高率に捕捉できるものが出回っていますので理論上は感染を予防できることになります(ウイルスが単独で空気中を漂うことはないとされていますので、ウイルスを捕捉するために、マスクの網目がウイルスのサイズよりも細かい必要はありません)。したがって、マスク単独でウイルスの感染予防に十分な効果が示されていない一因に、その構造や着用方法に問題があるためと思われます。いくら細かい粒子を捕捉できても、マスクが顔にきちんとフィットしていなければその隙間からどんどん細かい粒子が入り込んでくるのです。国民生活センターの調査によると、捕捉率の高いマスクであっても、マスクと顔との間の隙間から、空気中の微粒子の濃度の40%以上の濃度で微粒子を吸い込んでしまうという結果でした。また、ウイルスが付着した部分を手で触ったりすれば、接触感染の原因になってしまいます。したがって、マスクを着用するときは、顔の大きさに対して十分に大きなものを選び、ワイヤーが入っているものは鼻の形状に応じて折り曲げて鼻と口をしっかり覆い、隙間の出来やすい顎や頬にもしっかり密着させることがとても重要になります。また、マスクは1回ごとに使い捨てにして、同じマスクを何度も使用したり、マスクを外す時はその表面を触ることのないよう、ゴムひもの部分を持つようにし、外した後は必ず手洗いをすることが大切です。 一方、マスクには、気道粘膜の湿度を保ち、乾燥を防ぐという別の目的があります。マスクの着用で気道内の適度に湿度を保つことにより、侵入した異物を排出するために必要な粘液の分泌や繊毛の働きを助け、気道の防御機能を高めることが期待できます。実際、マスクをすることで口内湿度が70%以上に高まることが知られています。さらに、マスクにより、ウイルスに汚染された手指が鼻や口に直接触れないようにブロックすることができます。 以上から、マスク単独でウイルス感染の予防に十分な効果が示されているとは言えませんが、手洗いと一緒にマスク正しく使うことで、その効果を引き出せる可能性はあると思います。 【手洗いは有効か?】 ドイツの研究グループによれば、SARSウイルスは、金属やプラスチックの表面で最大9日間、感染力を維持することができると結論付け、新型コロナウイルスにも当てはまる可能性を指摘しています。したがって、不特定多数が触るトイレの便座の蓋、流水レバー、ドアノブやハンドル、エレベーターのボタン、電車やバスのつり革、パソコンのキーボード、マウス、リモコンのスイッチ、照明スイッチ、おつりの小銭などに触れた場合は接触感染対策が必要になります。また、不要な接触を避けるため、サイン用のマイペンを持ち歩き、小銭を使用する必要のないよう、キャッシュレスの支払いを勧める方もいます。 コロナウイルスは、ウイルス表面が脂質成分で覆われているので、接触感染を防ぐために、70%の消毒用アルコールを使った手指の消毒や、界面活性作用のあるせっけんを使った手洗いは確実に効果が期待できます。実際、質の高い研究でも、インフルエンザの予防効果が示されています。特にアルコールは15秒ほどの短時間で抗ウイルス作用を発揮できます。せっけんを使う場合は、最低20秒以上の手洗いが推奨されています。ただ、アルコール消毒にしてもせっけんによる手洗いにしても、手のひら、指先、爪、指の間、手の甲、手首までしっかりなじませることと、アルコール消毒を行った場合はしっかり乾燥させること、手洗いをした場合は使い捨ての紙タオルを使用することが大切です。また、家庭や職場では、複数が触ったりするものに対しては消毒を施し、触ったらその都度、手の消毒や手洗いをこまめに行うことが必要になります。 【うがいは有効か?】 過去の研究で、水道水によるうがいは、風邪や発熱を減らすことが明らかにされていますが、インフルエンザやコロナウイルスに当てはまるのか明らかにされていません。インフルエンザの場合、粘膜に付着してから細胞内に侵入するまで20分ほどしかかからないという報告もあり、長時間外出し、帰宅後にうがいをしても、その時点で感染が成立している可能性があるのです。コロナウイルスの場合、侵入してから感染するまでの時間ははっきりしませんが、感染予防のためにうがいを行う場合は、この時間内にこまめに行う必要があります。また、うがいは、咽頭粘膜に付着したウイルスには有効かもしれませんが、鼻粘膜や気管支に侵入したウイルスには有効ではありません。 その他、緑茶に含まれるカテキンやテアニンによる抗ウイルス作用により、緑茶によるうがいや飲用の習慣がインフルエンザの発症を減らす可能性が報告されていますが、確実に予防効果があるかどうか、コロナウイルスを含めてもまだ実証されていません。ただ、もし、緑茶がコロナウイルスに対して抗ウイルス作用を有していれば、外出先ではこまめにうがいをするよりも、ペットボトルの緑茶をこまめに飲む方が実用的かもしれません。 【加湿は有効か?】 インフルエンザウイルスの場合、温度22℃以上、湿度50%以上の環境で感染力が極度に低下することが報告されていますが、新型コロナウイルスは湿度に強いという報告もあり、まだはっきりしたことはわかっていません。ただ、前述した通り、気道内の湿度を保つことで、気道の分泌や繊毛の動きを促進し、気道の防御機能を高めることが期待できます。
【相談窓口】 厚生労働省のホームページには、風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている、強いだるさや息苦しさがある、高齢者や基礎疾患のある方は上記の症状が2日以上続く場合は、各都道府県に設置されている帰国者・接触者相談センターにご相談くださいと掲載されています。 宮城県在住の方は、電話022−211−3883(24時間) 【今後について】 2002年に流行したSARSは、11月に流行が始まり、翌2003年の7月に終息しています。 新型コロナウイルスがSARSと異なるのは、グローバル化がさらに進み人の移動が格段に増えていること、潜伏期間と症状が軽微な初期に感染者を特定しにくいことなど、感染を封じ込めるために越えなければいけないハードルがあります。また、日本では、症状が軽微な人が職場や学校を休みづらい環境にあることも不利に働くかもしれません。ウイルス感染は人の交流を通して広まっていきます。思い切ってイベントや集会を中止したり、参加を見合わせたり、仕事、会合、講義などは出来る限りオンラインで済ますことも必要でしょう。個人および組織が、目先のことだけでなく、将来のことを考えて行動することが求められています。 |
2020年2月24日(月) |