仙台市若林区の診療所  医療法人社団太陽会 仙台在宅支援たいようクリニック 【訪問診療・往診・予防接種】
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院長ブログ



 第48話 2つの命題


投稿:院長

イチロー選手が現役引退を発表され、大ファンとして感慨深いものを感じています。

 

2004年に大リーグの年間最多安打を達成した時、2009年にワールドベースボールクラシックの決勝戦で決勝打を打った時、2016年に大リーグ通算3000本安打を達成した時は、日本人として誇らしく、興奮してなかなか寝付けなかった思い出がよみがえります。

 

イチロー選手と言えば、普段の生活や試合前のウオームアップ、そして打席ごとに同じ習慣や動作を繰り返す「ルーティーン」を実践していたことで知られています。

 

ルーティーンの効果とは何でしょうか?

 

イチロー選手に限らず、ラグビーの五郎丸選手がキックを蹴る時に行う拝みポーズや、ウサインボルト選手がレース前に行う十字架のポーズは有名ですが、ルーティーンを行うことで気持ちを整理し、ストレスや不安を取り除き、集中力を高めて試合に臨むことができるのです。

 

ただ残念な点を挙げると、イチロー選手のルーティーンが食事に及んでいたことです。

 

イチロー選手の偏食は有名で、子供の頃から野菜嫌い、選手時代もカレー、うどん、パンなど同じパターンの食事を繰り返していたそうです。

 

重圧と闘いながら、数々の「不確定要素」を取り除くためには必要だったでしょうし、この徹底したルーティーンのおかげで集中力を保ち、数々の偉業を達成できたのだと思います。

 

しかし、「もしもイチロー選手が、若い時からバランスの良い食事をしていたら・・・」

 

50歳を過ぎても選手として活躍する姿を勝手に想像しながら、イチロー選手のこれまでの偉業を振り返っているところです。

 

「人として、キャリアのピークをどのようにして過ごすのか?」

「そのピークは過ぎたけれど、どのようにしたら長期間続けられるのか?」

 

相反する要素を数多く含んでいるこの2つ命題に対して、どう折り合っていくのか、一人一人に与えられた課題なのかもしれません。




2019年3月23日(土)


 第47話 「数字」との付き合い方


投稿:院長

人は生まれてから、数字で示される目標や理想に常に囲まれて生活しています。

 

赤ちゃんの時は出生体重や身長、体重で表される成長、学校に入るとテストの点数、社会人になると営業成績のノルマや年収、容姿や体形が気になる人はスリーサーズや体重といった具合です。

 

また、オリンピック選手やプロスポーツ選手になると、高い数値目標を掲げて日々トレーニングを積むことになります。

 

医療面でも、血圧などのバイタルサインや検査数値は医師と患者さんの間で常に話題になります。

 

これらの数値目標は客観性があり、何らかの目標を設定する場合は具体的でわかりやすいという利点があります。そして、数値目標を掲げることでモチベーションが維持できるということもあるでしょう。

 

しかし、医療では数値目標にとらわれ過ぎると不利益を生じることもあります。

 

例えば、身体機能が低下した高齢者に対して、本人の主観的な症状や感情を無視したまま、理想的な数値目標だけが一人歩きしてしまうと、単なる「補正医療」になりかねません。

 

特に、様々な病気の終末期に入ったら、バイタルや検査値、食事量や尿量に一喜一憂するのではなく、「苦痛なく穏やかに生活できているか」が最も重視されるべきです。

 

こう考えると、よりよい年の取り方というのは、数値目標に対するこだわりから徐々に自分を解放していくことなのかもしれません。

 

そして、数字へのこだわりは、目標としてでなく「出来たことに対する結果」として使いたいものです。

 

100歳でお祝い状をもらった、元気に米寿を迎えられた、50年間頑張って働いた、結婚60周年を迎えられた、孫が3人に増えた・・・などなど。

 

在宅医療に携わる者として、患者さんの“自慢話”をどしどし聞かせてもらいたいと思っています。




2019年3月21日(木)


 第46話 ブラックの中に見える色


投稿:院長

もうすぐ平成が終わろうとしていますが、漫画家の手塚治虫さんが平成元年2月にお亡くなりになって、早いもので30年ということになります。

 

手塚治虫さんが活躍されていた頃、ブラックジャックの外科医としての技術にあこがれて医師を志したという人が少なくありませんでした。

 

外科医として天才的な腕を持つけれども、孤高で医師の資格を持たず、法外な治療費を請求するというブラックジャックの診療スタイルを現実の世界に重ね合わせることができず、私自身はブラックジャックにあこがれて医師になったわけではありません。

 

しかし、今でも強く印象に残っている場面があります。

 

その一つが「助けあい」というブラックジャックとしては珍しいタイトルのついたストーリーの中の出来事です。

 

殺人の疑いで拷問にかけられてしまったブラックジャックでしたが、異国で知り合ったある日本人商社マンのおかげで無事に釈放されます。

 

後日、この商社マンが会社の陰謀に巻き込まれて瀕死の重傷を負ってしまいますが、それを知ったブラックジャックは、様々な妨害を受けながらも自分の危険を顧みずに手術を施し、商社マンの命を救います。

 

商社マンに、「なぜ自分のためにこんなに尽くしてくれるのか?」と聞かれたブラックジャックは「おたがいさまでさぁ、あなたに助けられたときはもっと嬉しかった・・・」とつぶやいて立ち去っていくのでした。

 

ブラックという色は、「悪」「闇」「恐怖」「死」というネガティブなイメージが付きまといますが、漫画ブラックジャックの楽しみ方というのは、このブラックの中に人間味あふれる「暖色」を見つけることにあるのかもしれません。

 

平成の時代、日本では多くの災害や事故が発生しましたが、数多くの場面で「お互い様の精神」が発揮されてきたと思います。

 

時代が変わっても、この精神をずっと持ち続けていきたいものです。




2019年3月18日(月)


 第45話 ドナルド・キーンさんを偲ぶ


投稿:院長

先月、96歳でお亡くなりになった日本文学研究者のドナルド・キーンさんの追悼番組を拝見しました。

 

キーンさんは、18歳で偶然出会った源氏物語に心を奪われ、手紙や日記を読んで日本人の心情に触れ、日本人に対する関心を深められました。

 

そして、戦後、古典作品から近代作品まで幅広く日本文学を研究され、大学で教鞭をとる傍ら、たくさんの翻訳や著作で日本文学を海外に紹介されました。

 

そして、文学だけにとどまらず、日本の自然、文化、美術、工芸をこよなく愛したキーンさんは、2011年の東日本大震災を機に「日本人とともに生きたい」と日本に永住を決意、2012年に日本国籍を取得され、亡くなるまで日本人であり続けました。

 

追悼番組で、まるで少年のように目を輝かせながら日本人のことを熱く語るキーンさんを拝見し、日々の自然や出来事、感情を感性豊かに言葉で表現する日本人に魅了されたことがわかりました。

 

そして、キーンさんの考える日本人の心とは、きらびやかさとは異なる質素で自然な美しさを愛する心、丹精を込めたものづくりの心、人を敬う心、思いやりを持って人と接する心、困難が立ちふさがっても復興を果たしていく粘り強い心ではないかと感じました。

 

私達の普段の生活の中にも、この日本人らしさは至る所に残されていますし、在宅医療では、日本人らしさによって多くの人が支えられていることを実感しています。

 

番組の最後に、キーンさんは100年後の日本人に対するメッセージとして、「日本語を自分たちの宝物として守り続けてほしい」と述べられています。

 

言葉には人を癒す不思議な力があります。

 

日々の生活の中で日本人であることを自覚し、日本人としての心を言葉で表現し、伝えていきたいと思いました。

 

キーンさんのご冥福をお祈りいたします。



2019年3月16日(土)


 第44話 業務改善


投稿:院長

高齢の患者さんに最近の体調をお聞きすると「財布の中身が痛い」「金欠病です」という言葉が返ってくることがたびたびあります。

 

多くの患者さんは微笑を浮かべていますが、この言葉に同意するわけにもいかず、「ああ、そうなんですね。それは大変ですね」と“共感”を示してみたものの、どう返答したらよいのかしどろもどろでした。

 

私からどんな返答があるのか、楽しみにしていた方もいらっしゃったと思うのですが、なかなか皆さんの期待に応えられず(笑)、モヤモヤした気持ちを抱えていました。

 

そこで、皆さんのユーモアに対してなんとか気の利いた返答はできないものか、“業務改善”を行った結果、こんな風に返答することにしました。

 

「私のクリニックではレントゲンがないので、残念ですが財布の中身までは診断できません。でも、聴診器を当てると〇〇さんの“心の銀行”にはたくさん貯金があってとても豊かなようです。あれっ、“心の引き出し”にもユーモアがたくさん詰まっていますね。今度、切り崩して是非私に分けて下さい。宜しくお願いします!」

 

こんな風に返答したら、患者さんがどんな表情を見せるのかとても楽しみです。

 

皆さんならどう返答しますか?




2019年3月14日(木)


 第43話 花嫁修業?


投稿:院長

老人介護施設には、男性職員の他にも大勢の女性介護士さんが活躍されています。

 

入所者の普段の生活にやさしく付き添い、レクレーションを企画し、ある施設では白髪染めまでやってくれます!

 

以下は、ある老人介護施設でのやり取りです。

 

私「若い女性が介護施設で働くことって、花嫁修業にもなるんじゃないかと思うよ。だって、ケアを通して人に対して思いやりの気持ちが生まれるし、普段、食事やデザートを作ったり、誕生日に手作りのケーキを作ったり、秋に芋煮会の鍋を作ったりすると、料理も得意になるでしょ。男性にしてみたら、こんな女性を嫁にもらったら幸せだよね」

 

ある介護施設の女性スタッフ「そうですよね!そうやって私は今の旦那さんと職場結婚したんです!」

 

私「えっ!旦那さんはきっとしっかり見ていたんだね。それとも付き合ってほしいオーラをたくさん出していたのかな?」

 

ある介護施設の女性スタッフ(照れながら)「ええと、その両方ですかね」

 

ということで、今日は幸せいっぱいオーラをたくさんもらってきました。


人の幸せというのは、「人からどれだけ愛情を受けているか」よりも、思いやりの気持ちを持って、「人に対してどれだけ愛情を注いでいるのか」で決まってくるのかもしれませんね。

 

※私の考える花嫁修業というのは、かなり個人的で、必ずしも今の時代に合っていないのかもしれませんが、どうぞご容赦を・・・。





2019年3月11日(月)


 第42話 ミステリー


投稿:院長

訪問診療を受けている高齢の方でも趣味が読書という方が少なくありません。

 

中でも予想外に多いジャンルが推理小説なのです。

 

80歳を過ぎても頭脳明晰なAさんのお宅に訪問診療に伺った時のことです。

 

枕もとをみると「〜〜〜殺人事件」というタイトルの文庫本が山積みになっているではありませんか!

 

私「Aさんは、もしかして殺人事件がお好きなんですか?」

 

Aさん「殺人事件は大好きだね」

 

私「ひえ〜!(心の中で)」

 

Aさんが、今でもしっかりとした記憶力を維持されている秘訣は、犯人は一体誰なのか毎日推理しながら読むことにあったのです。なるほど〜。

 

ところで、少し足腰の衰えたAさんがどうやってこの推理小説を集められたのか?

 

私「この本はどうやって集められたんですか?」

 

Aさん「これは家族や仲のいい友人が持ってきてくれるんだね」

 

Aさんの頭の中で繰り広げられる名探偵ぶりは、愛情や友情によって支えられていたんですね〜。なるほど〜。

 

というわけで、私の頭の中で沸き起こった謎まで解明され、一件落着。めでたし、めでたし。




2019年3月8日(金)


 第41話 スマホは善?それとも悪?


投稿:院長

スマートフォンの普及率が上昇し、電車の中でもレストランでもスマホに夢中になっている人が非常に多いです。

 

しかし、最近はスマホの弊害も叫ばれるようになってきています。


子供がスマホを操作する時間が長くなるほど学校の成績が低下し、使い過ぎによる大脳の発達の遅れが指摘されていますし、働き盛りの年代でもスマホの使い過ぎにより、感情や意欲などをつかさどる脳の前頭葉の血流が低下し、もの忘れ、判断力や意欲の低下、感情のコントロールが難しくなるといった弊害が指摘されています。

 

一方、高齢者の場合、スマホを使用することにより、SNSを通した他者との交流や機器の操作による認知症の予防効果などが示されており、果たしてスマホは人の健康にとって善なのか悪なのかわからなくなってしまいます。

 

この点について、スマホが人の健康に与える影響は、スマホの使い方によって変化するのではないか、と考えています

 

若い方のスマホの使い方をみると、絶えずスマホの画面に向き合う「ながらスマホ」の状態になっていることが多く、もし、スマホがないと精神的に落ち着かない、メールの着信音が空耳で聞こえるようになっているとしたら「スマホ中毒」はかなり重症かもしれません。

 

こうなると、スマホを使うのではなく、「スマホに使われてしまっている」「スマホに支配されてしまっている」といった方がいいのかもしれません。

 

一方の高齢者の場合は、楽しみながらスマホに向き合い、かといって使う場合でも短時間で済ませ、スマホを使っている時間とそれ以外の時間を区別しながら使っている方が多い気がします。


人間の脳というのは、情報を得るばかりでなく、それを整理する作業が必要ですが、四六時中、いろんな情報ばかりが入ってくるのにそれを整理する時間がないと、情報処理が追い付かず「脳疲労」を起こしてしまうのです。

 

外を歩いた時は、新鮮な空気を吸って季節の変化を感じ、食事をする時は、食材一つ一つのおいしさを味わい、電車に乗った時は、移り変わる外の景色の変化を楽しむ(それとも人間ウオッチ?)ことも必要だと思います。

 

「スマート」とは英語で「賢い」を意味し、端末が持つ多様な機能と照らし合わせてスマートフォンと呼ばれるようになったのですが、賢さが求められているのは私達人間のようです。





2019年3月6日(水)


 第40話 おねだり


投稿:院長

介護が必要な高齢者の中には「みんなに迷惑をかけるので、もうこれ以上長生きしなくてもよいのですが・・・」という方が少なからずいらっしゃいます。

 

表情をみると、とても深刻という雰囲気ではなく、いつも礼儀正しく迎えて下さいます。

 

このような言葉に対して、どう返事をしたらよいのかずっと迷ってきました。

 

当初は「そんなことないですよ。これからも是非長生きして下さいね」と当たり障りのない返答をしてみたものの、私自身、どこかすっきりしないものを感じていました。

 

人は、自分のことになると無頓着だけれど、他の人のためだったら喜びを感じて頑張れるということがあります。


裏を返せば、「長く生き過ぎてしまった」と考える謙虚な方は「人に迷惑ばかりかける自分には、これ以上生きる価値がない・・・」と考えてしまうもの。

 

色々考えた末、そのような方に対して次のように返答することにしています。

 

「〇〇さんが今までご家族や社会に貢献して下さったおかげで私達が安心して暮らせるのです。お会いできたことをとても感謝しています。時には沈んだ気持ちになるのは人間だから当然です。しかし、〇〇さんの笑顔を見るとそれだけで私は嬉しくて安心できるのです。〇〇さんにお会いできることをいつも楽しみにしているので、これからもとびきりの笑顔で迎えて下さるととても嬉しいです」

 

よく考えれば、年齢や考え方が違っても、私達は同じ日本人として今の世を生きる同志のようなものです。

 

今までの人生に敬意を表し、出会いに感謝し、笑顔を“おねだり”することで、少しでも生きがいを感じてもらえたらと考えています。




2019年3月4日(月)


 第39話 涙の先には・・・


投稿:院長

悲しみで泣いている人に向かってどう慰めるのか言葉が見つからず、「もう泣かないで、元気を出して」と声をかけることがあるかと思います。

 

しかし、「感情の涙を流す」というのはあらゆる動物の中で人間だけが持つ特性と言われており、この特性を我慢することは果たして良いことなのでしょうか?

 

実は、感動や悲しみなどの情動の涙には、緊張やストレスを緩和し、心身をリラックスさせる作用があるのです。


例えば、子供は泣き終わった後にぐっすりと寝てしまい、起きた後には泣いていたのが嘘のように明るく元気になっていたということがありますし、思いっきり泣いたら気持ちがすっきりしたという経験を持っている人も多いと思います。

 

一方、泣くことを我慢するとストレスをため込み、緊張状態が続いてしまう可能性があるのです。

 

したがって、目の前で泣いている人に向かってこんな風に優しく語りかけたいものです。

 

「あらっ、泣いているの?悲しい時はね、気の済むまで泣いたっていいのよ」・・サザエさんのお母さん風に。

 

「さあ泣きな。悲しい時はな、いくらでも気の済むまで泣いたらいいんだよ」・・男はつらいよ 寅さん風に。

 

最近めったに泣かないという人には、ずばり「泣く技術」という本が発売されていますので、上手に泣くために“涙ぐましい努力”をしてみてはいかがでしょうか?


ところで、これからピークを迎える花粉症の涙、玉ねぎを切った時の涙にはリラックス効果は全くありませんので、こちらの涙はしっかり予防しましょう!



2019年2月27日(水)

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