仙台市若林区の診療所  医療法人社団太陽会 仙台在宅支援たいようクリニック 【訪問診療・往診・予防接種】
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院長ブログ



 第68話 高齢者ってすごい! パート6


投稿:院長

在宅医療で最も大きな力となるもの・・・それは人間同士の絆です。

 

難病のFさんは、徐々に衰える自分の身体と向き合って生きてきましたが、その傍らには常に奥さんがいました。

 

ある日、夫婦喧嘩の真っ最中に訪問したことがありました。

 

お互いにすごい剣幕で“言葉の弾丸”が行きかう中、私は慌てて仲裁に入り、何とか落ちつきを取り戻すことができました(流れ弾に当たらなくて良かった・・・)。

 

でも私は全く心配していませんでした。

 

結婚してから山あり谷ありの夫婦関係でしたが、二人でいろんなことを乗り越えてきたからこそ今がある・・・それを知っていたからです。

 

三浦友和、百恵夫妻のように、一度も喧嘩したことがないという夫婦関係も理想的かもしれませんが、相手が病人だろうが、互いをぶつけ合い、普段通りに接することができるすごい夫婦なのです。

 

Fさんの病状が少しずつ進行する中、奥さんが漏らした一言が忘れられません。

 

「ここまで来たし、夫婦なんだから頑張ります。この人はいつも強気なことばかり言っていますが、やっぱり私なしではダメなんです」

 

とても深くて重い言葉です。


3組の夫婦のうち1組が離婚してしまうという世の中、良いことも悪いこともすべてを糧にして夫婦の絆を深めてきた高齢者ってすごい!


(次回はパート7をお送りします)




2019年5月28日(火)


 第67話 高齢者ってすごい! パート5


投稿:院長

Eさんはあと数年後に100歳を迎える女性です。

 

実はEさんは、ある病気のために輸血を受けたばかりです。

 

貧血の進行を見逃さないように注意して診察していますが、一見、顔色だけをみても貧血かどうかはさっぱりわかりません。何故?

 

実はEさん、訪問診療の予定日は、お化粧をして待って下さっているのです。

 

眉毛は日本人形のように繊細に描かれ、唇は真っ赤な口紅! 着衣はまるでどこか観光に出かけるかのような装いです!

 

そして、Eさんは病気を抱えていてもいつも前向き。明るく素敵な笑顔で私たちを迎え、最近の出来事をたくさん話して下さいます。

 

医師によっては、顔色を診るために患者さんに対して素顔で受診するように指示を出す場合もあるのですが、当クリニックではお化粧大歓迎。

 

何歳になっても、自分の身だしなみを大切にしている高齢者ってすごい!


(次回はパート6をお送りします)




2019年5月22日(水)


 第66話 高齢者ってすごい パート4


投稿:院長

車椅子で生活するDさんは、メガネの奥に覗く優しい目、口紅を塗っているのかのような鮮やかな色の唇、艶のある肌、そして穏やかな語り口がとても上品な方です。


ある日の診療の中での会話です。

 

私「Dさんは、いつ見ても健康的で上品なお顔ですね」

 

Dさん(微笑みながら)「あらっ、そうですか?どうも有難うございます」

 

そんなやり取りを聞いていたご家族(笑いながら)「先生〜、そんなに褒めても何も出てはきませんよ」

 

その直後にDさん「私は若い先生に診てもらって嬉しいです」

 

何も出てこないどころか、Dさんから私に対する最大級の褒め言葉が飛び出し、皆で大笑いしました。

 

私自身、遠い過去に忘れ去られていた「若い」という“魔法の言葉”に乗せられて(笑)、気持ちよく一日を過ごせたのは言うまでもありません。

 

何歳になっても、機転の利いた会話ができる高齢者ってすごい!


(次回はパート5をお送りします)




2019年5月20日(月)


 第65話 高齢者ってすごい パート3


投稿:院長

90歳代のCさんは、全盲でベッド上の方です。

 

しかし、Cさんの生活ぶりをみると・・・・食事は自立、ポータブルトイレでの排泄も自立、内服薬の管理も自立され、残っている薬の日数まで把握されています。

 

さらに、ここだけの秘密ですが、枕の下には預金通帳と財布が置かれ、金銭の管理も自分で行っています(ヒソヒソ)。

 

さらに、手の届く範囲には、テレビとクーラーのリモコンが置かれ、まるで目が見えているかのようにリモコンのボタンを操作します。

 

こうして、自分で室温を調整しながらニュースや情報番組を聞いて一日を過ごします。


ある日の診察中、枕もとに「孫の手」を発見した私は、Cさんにお願いして、実際にどう使うのか実演してもらいました。

 

Cさんは照れた表情を浮かべていましたが、これを手に取ると、器用に操っていつものセルフケアを実演してくれました。

 

これを間近で見た診療チームは思わず拍手喝采。

 

こうしてCさんのベッド上は、見事な“演劇の舞台”になったのでした。

 

ちなみに演劇名は「かゆいところに手が届く」です。

 

今は亡きCさん、天国の舞台でも孫の手を自由自在に操っているのでしょうね。

 

障害を持ちながらも、人に迷惑を掛けまいと、いつまでも自立した生活を送ろうと努力し、人の心を和ませることができる高齢者ってすごい!


(次回はパート4をお送りします)




2019年5月16日(木)


 第64話 高齢者ってすごい パート2


投稿:院長

90歳台のBさんは足の骨折から見事に回復し、歩行器につかまりながら自宅の中を歩けるようになっていました。

 

Bさんの目標は東京オリンピックを観戦することです。

 

しかしある夜、誤ってベッドから転落し、再び足に激痛が走り歩けません。

 

ご家族が「診療所に電話を掛けようか?」と聞いても「こんな時間に先生に迷惑が掛かるから我慢する」

 

さらに「救急車を呼ぼうか?」と聞いても「こんな時間に救急隊の人に迷惑が掛かるから我慢する」

 

こんな調子で一夜を明かしたのでした。

 

翌日、ご家族から連絡があり、自宅に往診したところ、足の付け根がパンパンに腫れあがっていました。

 

「よくこの状態で一晩我慢しましたね。お疲れ様でした」

 

痛いはずのBさんは、そんな状態でも私達を温かく迎えて下さいました。そして最寄りの病院に連絡し、Bさんは入院となりました。

 

そして今、Bさんは無事に手術を終えて自宅で生活されています。

 

歩行は少し大変になりましたが、自分の力で立ち上がり、車椅子に乗ることができます。

 

どんなに痛い思いをしても、他人を気遣う気持ちをけして忘れない高齢者ってすごい!

 

東京オリンピックを元気にテレビ観戦しているBさんの姿が目に浮かびます。

 

(次回はパート3をお送りします)




2019年5月11日(土)


 第63話 高齢者ってすごい 


投稿:院長

在宅医療は文字通り家庭の中に入っていく医療です。

 

患者さんには、「診療日には必ずしもベッドに横になって待っている必要はなく、普段通りの生活をしていて下さい」と話をしています。

 

それは、茶の間でテレビを見ていたり、食事をしていたり、庭の鑑賞や手芸をしていたり、患者さんの普段の様子を観察したいからです。

 

ある日、90歳代のAさんの部屋に入っていくと、ベッド脇のポータブルトイレに座り、用を足されているところでした。

 

慌てて部屋を出ようとすると、Aさんはにっこり笑いながら、「あらっ、来て下さったのね。いつもお世話になって有難うございます」と握手して下さいました。

 

便器に座っている方と握手するのは初めての体験でしたが、何があっても動じず、常に笑顔で接して下さるAさんに敬服してしまいました。

 

どんなことがあっても感謝の気持ちを“水に流したりせず”、常に持ち続けて表現できる高齢者ってすごい!

 

(次回はパート2をお送りします)




2019年5月10日(金)


 第62話 “夢”から日常へ


投稿:院長

いよいよ大型連休も今日で終了し、普段の生活に戻ることになります。

 

今年は10連休という方も多かったようですが、長い休みが即ハッピーというわけではありません。

 

特に職場や学校に通っている場合、長い休みから気持ちを切り替えることが難しく、憂うつな気分で今日を迎える方も多いでしょう。

 

私の場合、52日から5日までの休みの期間中、自分や妻の実家で過ごしましたが(この間は非常勤ドクターに患者さんの対応をお願いしていました)、この期間中も就寝時間と起床時間は普段と一緒、高齢者(両親)の健康相談も普段と一緒、読書や運動、子供の宿題のサポートなどの日課も普段と一緒(笑)という毎日を過ごしていたためか、昨日から始まった1日早い「仕事始め」も、ほとんど苦労せずに切り替えることができました。

 

一方、連休中はかかりつけの医療機関が休診となり、この間に体調を乱し、どこで診察を受けたらよいのか迷ったり、ずっと我慢して過ごしていた方も少なくはないと思います。

 

せっかくの大型連休でストレスを抱えないために、精神面では普段の基本的なリズムを保ったまま生活することと、健康面では万が一のことを想定し事前に準備を整えておくことが大切だと感じています。

 

連休中に夢のような時間を過ごした方も、悪夢のような時間を過ごした方も、夢から上手に切り替えられますように・・・。




2019年5月7日(火)


 第61話 終わりと始まりに思うこと


投稿:院長

平成が終わりを告げ、令和という新しい時代が始まりました。

 

これは、天皇陛下が象徴としての務めを果たせなくなってはいけないという責任感から、自ら退位の意向を示されたことから始まったものです。

 

人生には数々の節目があり、時には卒業という言葉で表されるように、今まで続けてきたことを終了したり、引退したりということがあります。

 

イチロー選手の引退の時のように、それを祝福するべきかという議論があります。

 

続けてきたことをやめることは、時には不本意ということもあるでしょう。しかし、生きている限りそれは必ずやってきます。

 

人があることを終了したり引退したりすることは、それと同時にそれまでの人生を振り返り、気持ちを新たに再スタートする貴重な機会でもあります。

 

私はその時、周りの人々は今までの労をねぎらい、やり遂げてきたことを称賛し、人生の新たなステージを祝福する時にしてほしいと考えています。

 

人はそうされることで、前向きな気持ちで次の段階に向かうことができます。

 

平成の終わりと令和の始まりは、まさにそのような時です。

 

最近、高齢者ドライバーの人身事故と運転免許の自主返上の話題が取り上げられています。

 

確かに免許を返上することは、それまでの便利な生活を手放すという決断が必要です。

 

しかし、不幸が起きてからでは遅いのです。

 

運転からの卒業は、悲しい事故を減らし、きっと自分や周りを幸せにすることでしょう。

 

運転免許を自主返納した方の決断がもっと称賛され、車がなくともその人の豊かな生活を支え、人生の新たなスタートを応援できる社会であってほしいと思います。




2019年5月1日(水)


 第60話 その大丈夫は大丈夫?


投稿:院長

診察や検査の結果の説明を受ける際に、医師から「大丈夫」と言ってもらえると嬉しいものです。

 

しかし、医師がこの言葉を使う場合、大きく二つのことが想定されるので、よく注意して聞く必要があります。

 

その1つは、本当に大丈夫と太鼓判を押す場合です。その時、医師は自信に満ちた表情でその理由をわかりやすく説明してくれます。そして患者さんは、医師の表情と言葉の両方で安心できるのです。

 

そしてもう一方は、確固たる根拠なしにその場を取り繕うために、とりあえず大丈夫と言ってしまう場合です。その時、医師はなんとなく自信がなさそうで、「大丈夫」、「心配ない」という言葉でなんとか患者さんを安心させようとしますが、聞いていてもその理由ははっきりしません。

 

実は、診察や検査の結果というのは、白か黒か明確に線引きできるものばかりでなく、その場で結論を出せない、いわゆるグレーゾーンという場合も多いのです。

 

それではグレーゾーンの場合、医師はどのように説明すべきでしょうか?

 

この場合、現時点ではっきりしないことを正直に伝え、患者さんの気持ちに寄り添いながら今後の方針を具体的かつ誠実に説明してくれる医師が信頼できると思います。

 

時には、いくつかの選択肢を示したり、次回の診察までに他の医師と協議したり、他の医師に紹介したりしてくれるでしょう。

 

逆に、質問に対してイライラしたり、面倒くさそうな態度をとったり、他の医師への紹介を拒んだりする場合は、“大丈夫”でないかもしれません。

 

もともと大丈夫という言葉は、「強くて立派な男子」という意味が語源で、そこから“強くて立派な男子がいれば安心”というところから来ているそうです(ちなみに女性には「女丈夫」という言葉あり、“勝ち気でしっかりとした女性”のことを指すそうです)。

 

私自身、強くて立派な男子とは程遠い体格なのですが、言葉の重みというものを肝に銘じながら大丈夫を使っていきたいと思います。




2019年4月24日(水)


 第59話 “お宝”を探せ


投稿:院長

患者さんが生活している部屋には、今までの栄光を物語る品々が数多く存在しています。

 

長年地域のために尽力され贈られた感謝状や記念品、100歳を記念して県や国から贈られたお祝い状、患者さんが創作した数々の手芸や絵画、若い頃の家族写真、スポーツで入賞した時のトロフィー、釣り上げた巨大なイワナの魚拓、カラオケ大会で優勝した時の表彰状、掛け軸に筆書きされた自筆の書・・・・など数えればキリがありません。

 

そんな中、ある患者さんの診察をした時のことです。

 

何気なくテーブルの上を見ると、数冊の本が重ねられており、その表紙をよく見ると、なんと著者が患者さん自身だったのです!

 

それは、患者さんが30年以上前に書かれた実践的な考古学書でした。

 

実はこの患者さん、古代人がどのような生活を送っていたのか研究している考古学者だったのです。

 

考古学者と聞いて、患者さんの知的かつ探求心旺盛で、ちょっぴり頑固な性格に納得。

 

在宅診療とは、患者さんがこれまでにどんな人生を歩んできたのか、どのような生活を送ってきたのか思いを寄せることから始まるのかもしれません。

 

患者さんの部屋は、まさにその手掛かりを知ることができる宝庫なのです。

 

その中でも、私の心に最も響くものは、患者さんがこれまでの人生で最も輝いていた時(今でも輝いている方は大勢いらっしゃいますが)の貴重な「お宝」。

 

これからも、そんなお宝を“発掘”していきたいと思います。



2019年4月20日(土)

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