仙台市若林区の診療所  医療法人社団太陽会 仙台在宅支援たいようクリニック 【訪問診療・往診・予防接種】
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院長ブログ


 第91話 介護用ベッドの効能
投稿:院長

「病は気から」という言葉が示す通り、気分が晴れない、ストレスを抱えているなどの精神的な問題は、ある病気のきっけかとなったり、病気を悪化させる要因になったりすることが知られています。

 

逆に、前向きな気持ちや考え、楽しい、嬉しいなどの感情は、自然治癒力を引き出すことも知られています。

 

今日は別な視点で、病気を克服する時に精神力がいかに大切かについて触れてみたいと思います。

 

ある患者Bさんは、食欲不振で体力が衰え、自力で座ったり、立ち上がったりすることが次第に困難になっていました。

 

いくつかの薬を試してみたり、食事内容を工夫してみたり、気分を盛り上げようと励ましてみたり、前向きな気持ちを引き出そうと目標を設定してみたり、あらゆる手を尽くしてみましたが、効果は十分ではありませんでした。

 

そして、以前のような生活に戻ることは難しいと感じ、電動式の介護用ベッドをお勧めすることにしました。

 

そして、Bさんに「生活の助けになるなら使ってみよう」と返事をもらい、レンタルで自宅に設置することになりました。

 

ところが、ベッドが搬入された当日、奇跡が起きることに・・・。

 

介護用ベッドを間近に見たBさんは、「このベッドの上で一生寝たきりになってしまうのではないか?」という危機感から、その日から食事量が増え、1週間後にはすっかり歩けるようになったのです!

 

そして、介護用ベッドは全く使用することなく、すぐに返却することになりました。

 

私は、「使わない介護用ベッド」にはこのような効能もあるのか・・・とびっくりしました。


Bさん、よく頑張りました!

 

万が一、Bさんの食欲不振が再発した場合は・・・もちろん「介護用ベッドを使ってみましょう」の切り札(裏技)を使ってみるつもりです。

 

そして、介護用ベッドを手配して下さったケアマネージャーさん、福祉用具の皆さん、Bさんが回復したのも皆さんのおかげです。大変ありがとうございました。それと・・・これからも、たぶん(?)宜しくお願いいたします。(^^)v



2019年8月16日(金)

 第90話 素敵なゲスト
投稿:院長

812日は祝日でしたが、クリニックに素晴らしいゲストをお迎えしました。

 

それは、1歳から小学校低学年までの職員の子供達です。

 

「今日の職場の平均年齢はだいぶ若返ったな〜」と心の中でつぶやく私。

 

さすがに、訪問診療に同行するのは難しいので、今日は事務作業で「職場体験」を行いました。

 

おかげで、クリニックのメモ用紙にはたくさんの絵文字で一杯に。

 

そして、男の子に一日院長になってもらい、私はアンパンマンが大好きな院長に忖度しながら話題作りをしました。

 

「アンパンマンの顔はジャムおじさんがパン工場で作ってくれるから、食べても大丈夫なんだよ」(ちなみにジャムおじさんとサザエさんに登場するマスオさんは同じ声です)

「ドキンちゃんはしょくぱんまんが大好きで、しょくぱんまんを見ると目の形がハートに変わるんだよ」

「仙台のアンパンマンミュージアムに行くと本当のアンパンマンに会えるんだよ」(この“余計な話”を聞いたお母さんはハラハラ?)

 

この日の院長は、普段の院長と違って紳士的で(?)、職員に対して優しい言葉で語りかけていました。

 

「どうも有難う」

「行ってらっしゃい」

「また来てね」

 

「まだ幼いのに人間がだいぶできているな〜」と感心する私。

 

こうして、この日の職場体験は無事に(波乱のうちに?)終了し、「やっぱり子供っていいな〜」と思える素敵な一日でした。

 

院長の椅子を空けて待っているから、また遊びに・・・じゃなくて仕事に来て下さいね〜。


2019年8月13日(火)

 第89話 長岡花火
投稿:院長

83日に私の実家のある新潟県長岡市に帰省し、5年ぶりに長岡花火を観覧してきました。

 

長岡花火は、1879年(明治12年)に開催されたのが始まりです。

 

長岡は、1945年(昭和20年)81日の空襲で1400名を越える犠牲者を出し、市街地は焼け野原になりましたが、長岡まつりの前身である復興祈願祭が翌年の昭和21年81日に開催されました。

 

花火大会は終戦の2年後から復活し、以後、81日が戦災殉難者の慰霊の日、82日と83日が花火大会の日として定められ、戦争の悲劇から立ち上がろうとする長岡市民の癒しと勇気の象徴となりました。

 

そして現在は、戦争犠牲者の慰霊、復興に尽力した方々への感謝、災害からの復興や世界平和への祈りを象徴とする花火として受け継がれています。

 

長岡花火を代表する花火が、不死鳥を意味するフェニックス。

 

2004年に起こった新潟県中越大地震からの復興祈願と、全国から寄せられた支援への感謝を表すものとして、2005年から打ち上げられ、今年で15年目となります。

 

フェニックス花火は、中越大震災の時に被災者を勇気づける曲として、新潟県内のラジオ局に多数のリクエストが寄せられた平原綾香さんのJupiterの曲に合わせて打ち上げられます。

 

美しいのに、世界で唯一、自然と涙が溢れてくる花火です。

 

長岡花火は、私にとって家族と見る花火。

 

幼少の頃は両親に手を引かれながら会場を移動しましたが、今年はすっかり足腰の衰えた母の手を引きながら会場を移動しました。

 

20年後、30年後は、私自身が子供達に手を引かれながら観覧することになるのかもしれません。

 

ホームページのメニューの一番下に、長岡花火の特設ページを設けました。

 

涙腺の弱い方はハンカチを手元に置いて動画をご覧ください。



2019年8月9日(金)

 第88話 3つのバランス
投稿:院長

古代中国の思想家・孔子の言葉を編纂した論語の中に、「知仁勇」という言葉があります。

 

「知」とは、いわゆる学問をすることにより得られた知識や知恵のことを指します。

「仁」とは、人のことを思いやる心、共感できる心のことを指します。

「勇」とは、何事も果敢に挑戦するチャレンジ精神を指します。ただし、結果を顧みない無謀な勇気ではなく、結果を出すための勇気です。

 

一方、心理学では、知仁勇に相当するものとして、カントによって「知情意」が提唱されています。

 

「知」とは、知性のことで、知識を活用し、物事を考える能力のことを言います。

「情」とは、喜び悲しみ怒りなどを心で感じ取ることを言います。

「意」とは、意欲や精神力など、決断するための意思のことを言います。

 

この3つはお互いに関係しあっており、人が何かをなすときには、このバランスが大切です。

 

例えば、

知が強すぎると、自分の利益ばかり追求するようになるかもしれません。

情が強すぎると、感情に流されて冷静な判断がつかなくなるかもしれません。

意思が強すぎると、他者の意見を聞かず自分の主張ばかりを押し通すようになるかもしれません。

 

ものごとが上手くいかない時は、この3つの要素のうち何かが不足しているのかもしれません。

 

パナソニックの創業者である松下幸之助さんは、知情意の調和を図り、かつ高めていくことが人間性を向上させると述べています。

 

私は、クリニックにとって必要な3つの要素を、「知識」「思いやり」「行動」に置き換え、さらに、「創意工夫」が必要だと考えています。

 

あっ、さらに、安心、安全、改善、連携、協働、継続・・・。

 

考えれば考えるほど、果てしなく長い理想への道のり・・・。



2019年8月6日(火)

 第87話 幸せの境地
投稿:院長

100歳を過ぎる超高齢者をセンテナリアンと呼びますが、私が今まで担当したセンテナリアンの方に共通するものは、時間がとても穏やかに流れているということです。

 

今の体調はどうですか?

「上々です」

食事はおいしいですか?

「おいしいです」

幸せですか?

「皆が良くしてくれるのでとても幸せです」

心配なことはありますか?

「ありません」

 

こんな風に、いろいろ質問してもポジティブな答えしか返ってきません。

 

そして、幸せの根源にあるものは人やものに対する感謝です。

 

そんな超高齢者が醸し出す雰囲気が、穏やかに時間が流れる空間を作っています。

 

現代人は時間に追われ、日常何気ない出来事に気づかないまま通り過ぎてしまっているかもしれません。

 

「たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見るとき」

 

江戸時代の歌人・橘曙覧(たちばなのあけみ)が歌集「独楽吟」の中で詠んだ句です。

 

この歌集に収められている句はどれも「たのしみは」で始まるのです。

 

幸せとはその大きさではなく、日常の小さな変化の中に楽しみや感謝を感じ取る心のありかたが大切なのだと教えてくれます。

 

道端に咲いた小さな花、木々の緑、透き通った青い空、患者さんの笑顔、ちょっぴり点数が上がった子供達の答案用紙・・・。

 

私達も100歳を前にして、センテナリアンの境地を是非体験してみたいものですね。


2019年8月2日(金)

 第86話 元気のバロメーター
投稿:院長

患者さんの中には、障害のために自分の気分や症状を言葉にして上手に訴えられない方も少なくはありません。


例えば、高齢者の場合、体調が良い時に見せる言葉や行動、仕草は患者さん一人一人で違っており、普段の診療ではそんな「元気のバロメーター」を確認するように心がけています。

 

そんな元気のバロメーターを具体的に挙げていくと・・・。

 

Aさんの場合、最近の調子を聞いた時に、「調子が悪いのは財布の中身」といつもの調子で返ってきた時(頭の中身はユーモアが詰まっています!)。

 

Bさんの場合、「嫁の運転する車に乗った時にタイヤが脱輪して腰の痛みが始まった・・・」と40年前の出来事をいつもの調子で話し始めた時(“頭の痛い”お嫁さんです・・・)。

 

老人施設に入所しているCさんの場合、診察中に職員の詰め所に歩き出して、詰め所に置かれているチョコレートをいつもの調子でおねだりする時(職員のダイエットに貢献しています)。

 

Dさんの場合、「今の人は年寄りをいたわる気持ちに欠けている!」といつものように熱弁を振るう時(今の人の中に自分が入っていないことを祈るばかり・・・)。

 

Eさんの場合、「どうもご苦労さん」といつものようにねぎらいの言葉を掛けてくれる時(この言葉を聞くとホッとした気持ちになります)。

 

Eさんの場合、ベッドの脇にあるごみ箱に、カップ麺の空の容器がいつものように捨てられている時(見て見ぬふりをする私・・・)。

 

Fさんの場合、新聞のテレビ欄のグルメ番組に、いつものようにピンクのマーカーが付けられている時(本物の料理も食べられますように・・・)。

 

Gさんの場合、聴診器を当てた瞬間に「バカヤロー!何をするんだ!」と怒り始める時(聴診器で増幅されたバカヤローの言葉を聞いて安心している私です)

 

Hさんの場合、私のおやじギャクをいつものように声に出して笑ってくれる時(他の人に白い目で見られることがあってもHさんだけは私の味方です!)

 

ちなみに私の元気のバロメーターは、「今日の自分のおやじギャクは冴えてるな〜」と自己満足で勝手に思い上がっている時です。


2019年7月30日(火)

 第85話 趣味を語ろう!
投稿:院長

「趣味探し 定年前の 大仕事」

 

サラリーマン川柳2019に投稿され、優秀100選に選ばれた作品です。

 

特に男性は、定年を迎えると外出する機会がめっきりと減り、自宅に閉じこもりになりがちです。

 

そんな時、助けになってくれるのが趣味。

 

先日、タクシーに乗る機会があり、運転手さんと趣味の話題になりました。

 

この運転手さんの趣味はなんと熱気球。

 

休日になると、仲間たちと各地の練習会や大会に出かけ、楽しんでいるのだそうです。

 

熱気球には、気球の立ち上げ、操作、着地の誘導、回収、メンテナンスなどチームワークが必要とされ、また、高所に堪えられる身体作りのため、普段の健康管理が欠かせません。

 

「普段、高所は苦手なのですが、熱気球に乗ると高い所も平気になるから不思議なものです」

 

運転手さんは、熱気球にかける男たちのロマンを楽しそうに語って下さいました。

 

それにしても、話にも熱がこもりすぎて肝心のタクシーの運転が「上の空」になってしまわないか少しハラハラしてしまいました。

 

ここで、運転手さんの話から見えてくる理想的な趣味について考えてみました。

 

それは、心から楽しめて生きがいになること、利害関係がなく助け合える仲間がいること、適度に頭や体を使うこと、健康管理のモチベーションになること、予算が家族の承認を得ていること、そしてなんといっても、趣味の話題になると少年のように目を輝かせながら延々と話ができることです!

 

人が楽しそうに自分の趣味について語っているのを聞くのは楽しいものですね〜。

 

実は、患者さんの中にも、自分の趣味の話をしたくてうずうずしている方がたくさんいます。

 

私の場合、普段の診療で、患者さんの趣味の話を聞くのが趣味・・じゃなくて仕事の一つになっています。


2019年7月26日(金)

 第84話 思いを寄せる
投稿:院長

721日は参議院選挙の投票日でした。

 

候補者の皆さんは様々な公約を掲げますが、公約以外に私が知りたいことの一つに、「どのような健康管理(セルフケア)を行っていますか?」ということです。

 

候補者のセルフケアを聞いて何の役に立つの?と思われるかもしれませんが、セルフケア能力は、個人の充実感、幸福感、生きがいと密接に関係しており、判断力、問題解決能力、遂行能力のバロメーターになると考えているからです。

 

また、自分の心身が健全で充実していないと、政治家として人に対して思いやりのある政務をこなしていくことは難しいと思います。

 

ということで、政治家の皆さんには、弱者に寄り添った政策を実現するためにも、自分の健康に対しても思いを寄せてほしいと思います。

 

また、有権者としては、低い投票率がとても残念でなりません。

 

投票しない理由はいろいろあるでしょう。

「自分には関係ない」

「自分が投票したからといっても何も変わらない」

「投票したい人がいない」

 

でも、有権者として過去・現在・将来の人々に対してもっと思いを寄せてほしいと思います。

 

今の日本の民主主義や選挙制度が実現するまでに犠牲となった多くの人々のことを。

今も民主化実現のために戦っている世界中の多くの人々のことを。

障害を抱えて選挙に行きたくても行けない人々のことを。

将来の日本を背負っていく子供達のことを。

 

ということで、私は自分の子供達を投票所に連れていくことにしていますが、チコちゃんの大好きな子供達は、今回の選挙で「NHKがぶっ壊れなかった」ことに安堵したようです。


※子供達は、NHKから国民を守る党のポスターに衝撃を受けていたようです。



2019年7月22日(月)

 第83話 独居を支える
投稿:院長

最近、独居の方を診察する機会が増えてきました。

 

また、家族と同居していても、家族が働きに出たりして、日中は自宅に一人で過ごしている方も多いのです。

 

このような傾向は、少子化の進行や未婚率の増加とともにますます進んでいくと思われます。

 

最近は、孤独に生きるための心の持ち方を扱った本が注目を集めていますが、1人で生活していると、他人に気を使うことなく自分のペースで過ごすことができる一方、身の回りのことが疎かになりやすいものです。


それでは、他人に対して気を使いながら生活することは悪いことなのでしょうか?

 

私は、家族の中で適度に気を使い合うことによって、行き過ぎた行動を自制したり、相手を思いやって行動することができるので、けして悪いことばかりではないと考えています。

 

孫に煙草くさいと嫌われないように禁煙してみよう。

女房にうるさく言われるから午前様はほどほどにしておこう。

家でゴロゴロしていると家族に嫌われるからちょっと散歩に出かけてみよう(笑)。

 

さらに、お互いに声を掛け合ったり支え合ったりすることで、病気を予防したり早期発見することができ、健康面では圧倒的に有利なのです。

 

事実、既婚者と比べて独身男性の寿命は817年、独身女性では715年も短くなるという調査結果も出ているほどです。


あなたの身近にいるちょっとわずらわしい存在は、実はありがたい存在なのかもしれません。


ということで、在宅ケアでは地域ぐるみでいかに独居生活の方を支えられるかが課題です。

 

独居のはずなのに、いろんな人(泥棒、押し売り、疫病神を除く)がワイワイと自宅に出入りして、家族のようにあれやこれやと声を掛け合う、そんな姿を目指したいものです。

 



2019年7月20日(土)

 第82話 「中学校」に学ぶ
投稿:院長

最近、中学生の子供が行っている通信添削で出題される国語の文章を読むことが趣味になっています。

 

問題を解いて頭の体操をすることが目的の一つではあるのですが、それ以上に様々なジャンルから質の高い文章が選ばれており、心に響く表現がたくさんあるためです。

 

その一例をご紹介します。

 

女子中学生の「まい」はクラスの中のグループに入ることに馴染めず、各グループからいじめられ孤立してしまいます。

 

自分が弱いせいだとまいは自分を責めますが、まいのおばあさんはクラス全体の不安に原因があるのだから自分を責める必要はなく、自分で転校を決めて良いのだとまいをさりげない言葉で導いていきます。

 

この時のおばあさんの言葉です。

 

「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、誰がシロクマを責めますか」

 

これは非常に説得力があります。

 

よく考えてみると、人は常に自分の「居場所」を探し求めて人生を歩んでいます。

 

学校、クラブ活動、仕事、家庭、趣味、ボランティア・・・・・自分らしく居られる場所を見つけられた人は生き生きと過ごすことができるでしょうし、そうでない人は、時には悪戦苦闘しながら自分の道を切り開いていきます。

 

そして人生の晩年には、自分を総決算できる生活の場を求めることになります。

 

それは自宅であったり、施設であったり様々ですが、自分の居場所を見つけられた人は、それだけで心穏やかに過ごすことができます。

 

在宅ケアとは、患者さんの生活する空間が患者さんにとって心地よい居場所となるようお手伝いすることなのです。

 

それにしても、学生の頃は問題を解くことばかりに一生懸命で、国語の本質が分かっていなかったと今更ながらに反省しているところです。

 

というわけで、しばらく「再入学した中学校」で学ぶことが私の心の居場所になりそうです。



2019年7月16日(火)

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