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 第161話 新型コロナウイルスに備えるために−緑茶への期待 パート3
投稿:院長

※ここに記載された内容について、電話による個別の健康相談は行っておりませんので、ご了承下さるようお願い致します。

 

前回まで、緑茶に含まれるカテキンが新型コロナウイルスに効果がある可能性と、インフルエンザや上気道炎などのウイルス性感染症の発症を予防する効果について述べました。

 

今回は、細菌感染症に対する効果について触れてみたいと思います。

 

●緑茶の歯周病に対する効果

緑茶の細菌感染症に対する効果の中でも、最も報告が多いものが歯周病に対する効果です。

 

以下は、外国の二重盲検無作為比較対照試験です。

研究チームは、歯周病を持つ3040歳の45人の成人を、緑茶を含んだガムで115分間、12回噛む群(緑茶群)と、緑茶を含まないガムを同じ頻度で噛む群(プラセボ群)に分けて、7日後、21日後の歯肉出血指数(SBI)、プラーク指数(API)について調査した。また、21日後にそれぞれの群で歯周病の炎症に深く関わっているとされるサイトカインIL-1βの唾液中の濃度を測定した。

その結果、緑茶群はプラセボ群に比べて、1〜7日、121日、721日のいずれの期間においても、SBIAPIの両指数で有意に減少幅が大きかった。まだ、唾液中のIL-1βは、緑茶ガム群で21日後に有意な減少を示したが、減少幅は両群で有意な差を認めなかった。

 

以下は、日本の横断研究です。

研究チームは、49歳から59歳までの日本人940人について、1日に緑茶を飲む回数と、検査器具を使った診察で、歯周ポケットの深さ(PD)、臨床的アタッチメントロス(歯肉と歯が接触していない距離:AL)、出血(BOP)の各指標について調査した。その結果、様々な因子を調整しても、緑茶を1杯飲むごとに平均PD0.023o低下、平均AL0.028o低下、平均BOP0.63%低下が認められた。

 

緑茶が歯周病に対して抑制的に働く理由ですが、カテキンが歯周病の主要な細菌であるジンジバリス菌、プレボテラ菌の増殖を阻害すること、ジンジバリス菌の人の頬粘膜上皮細胞への接着や毒素の産生を抑制すること、炎症に関わっているサイトカインを抑制すること、骨芽細胞や骨髄に作用して骨破壊を抑制することなどが考えられています。

 

●緑茶の肺炎に対する予防効果

以下は、日本で行われた大規模な観察研究です。

研究チームは、19079人の男性と21493人の女性に対し(年齢は40歳〜79歳)、1日に緑茶を飲む回数と肺炎による死亡について12年間追跡して調査を行った。

その結果、女性では11杯未満の群に比べて、112杯、134杯、15杯以上の群では、飲む量が増えるほど肺炎による死亡が低下していた(調整ハザード比はそれぞれ0.590.550.53)。しかし、男性では、喫煙を含めた様々な因子を調整しても有意な差が認められなかった。

 

この研究では、肺炎の原因となった病原体については調査されていないのですが、中高年以上の年齢を対象としているので、おそらく何らかの細菌性肺炎が原因と思われます。また、70歳以上と70歳未満に分けて解析を行っていますが、いずれの年齢層においても緑茶の予防効果が認められています。男性に対する予防効果が認められなかった点は残念ですが、はっきりとした原因は不明でした。

 

●緑茶の尿路感染に対する効果

以下は、外国の二重盲検無作為比較対照試験です。

研究チームは、急性膀胱炎と診断された健康な閉経前女性107人(年齢は18歳から50歳)を、抗菌薬(ST合剤480mgを12回内服)と緑茶成分2000rを含むカプセルを就眠前に併用する群(緑茶群)と抗菌薬と緑茶を含まないカプセルを併用する群(プラセボ群)に分けてその後3日間の膀胱炎症状の有無を調査した。

その結果、1日後の膀胱炎症状は、緑茶群61%、プラセボ群74%、2日後の膀胱炎症状は、緑茶群34%、プラセボ群67%、3日後の膀胱炎症状は、緑茶群2%、プラセボ群63%でそれぞれ認められ、緑茶群で有意に症状の改善が示された。また、6週間後の再発も緑茶群で少なかった。

 

尿中に排泄されるエピガロカテキン(EGC)の90%は飲んでから8時間以内に排泄されるそうで(エピガロカテキンガレート(EGCG)は尿中にほとんど排泄されないようです)、この研究ではトイレの回数が少なく膀胱内に蓄尿しやすい就眠前にカテキンを飲むと効果的ではないかと述べています。

 

緑茶のカテキンは、様々な機序により様々な細菌の増殖抑制作用が示されていますが、以下のように、この作用を利用した抗菌薬との相乗効果が示されています。

細菌細胞膜の合成抑制(ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系抗菌薬)

細菌たんぱくの合成抑制(マクロライド系、テトラサイクリン系、アミノグリコシド系抗菌薬)

細菌核酸合成抑制(キノロン系抗菌薬、メトリニダゾール)

 

以上、緑茶の細菌感染症に対する効果について触れましたが、以前、「口腔ケアの可能性」でも触れた通り、中でも歯周病の予防や治療は、ウイルス感染症の予防や、心臓疾患や脳血管疾患を始めとした慢性疾患の予防につながることを考えると、歯周病対策における口腔ケアの一手段として緑茶を効果的に利用したいものです。

 

今回、緑茶への期待と題して3回に分けて書いてきましたが、印象に残ったのが、お茶の本場である静岡県発の研究が非常に多かったことです。

 

郷土の特産品を、研究を通して日本国内だけでなく世界に向けてアピール(自慢)できるなんて素晴らしいですね。

 

緑茶は日本が誇る超健康食品です。日本人でありながら緑茶には無縁だなんて、なんともったいない気がします。

 

新緑の季節となりましたが、食卓も大いに緑に染めようではありませんか!


2020年5月2日(土)

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