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 第160話 新型コロナウイルスに備えるために−緑茶への期待 パート2
投稿:院長

※ここに記載された内容について、電話による個別の健康相談は行っておりませんので、ご了承下さるようお願い致します。


前回に引き続き、緑茶に含まれるカテキンによる感染症の予防効果についてです。

 

今回は、飲んだカテキンが体内でどのように吸収・代謝されるのかという点と、風邪やインフルエンザに対してどれくらいの予防効果があるのかという点について書いていきます。

 

●飲んだカテキンの吸収・代謝

前回書いた通り、緑茶に含まれるカテキンには、エピガロカテキンガレート(EGCG)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECG)、エピカテキン(EC)4種類あり、中でもEGCGは最も主要な、最も生理活性が強いカテキンです。

 

ある実験によると、健常者が緑茶1杯を飲むと、12時間後には血液中の遊離型(活性型)EGCGの濃度が最大になり、その後、速やかに低下し12時間後にはほとんど血中から消失します。

 

おそらく、消化管からのカテキンの吸収量は摂取量の5〜8%で、血中に移行するものは2%程度と見積もられています。

 

胃を含む小腸で吸収されたカテキンは、肝臓で他の物質と結合し安定した形に変化(抱合化と言います)し、最終的には便(胆汁から)や尿として排泄されますが、EGCGは抱合化を受けない遊離型として、生理活性の強い状態で体内に存在できるようで、マウスへの投与実験では全身の幅広い組織に移行することが確認されています(この点に詳しい方がいらしたら教えてください)

 

●緑茶を飲むことと風邪の予防効果

以下は、日本で行われた無作為化比較試験(二重盲検ではない)です。

健常な270人のヘルスケアワーカー(平均約43歳)を、高用量のカテキンを飲む群(57rを13回)、低用量のカテキンを飲む群(57rを11回)、カテキンを飲まない群(プラセボ群)に分けて12週間、上気道炎の罹患について調べた研究では、上気道炎の罹患率は、プラセボ群で26.7%、低用量群28.2%、高用量群13.1%で、高用量群で有意に上気道炎の罹患率が少なかった(プラセボ群に対するハザード比0.46

 

●緑茶を飲むこととインフルエンザ予防効果

日本で行われた観察研究です。

6〜13歳の小学生2050人を対象に、1日何杯(1200ml)の緑茶を飲むのか質問し、緑茶を飲む回数とインフルエンザの罹患率について調査した研究では、113杯未満、35杯飲む群では、11杯未満の群に比べて有意にインフルエンザの罹患率が少なかった(調整オッズ比はそれぞれ0.620.54)。また、1週間に6日以上飲む群は、3日未満の群に比べて有意にインフルエンザの罹患率が少なかった(調整オッズ比は0.60)。

 

日本で行われた二重盲検無作為化比較試験です。

健常なヘルスケアワーカー197人(平均約43歳)を対象に、1日カテキン378r+テアニン210r(テアニンも緑茶に含まれる成分)を飲む群と、飲まない群(プラセボ群)に分けて、5か月間インフルエンザの罹患率について調べた研究では、インフルエンザの罹患率は、プラセボ群13.1%に対しカテキン+テアニン群4.1%で、カテキン+テアニン群で有意にインフルエンザの罹患率が少なかった(調整オッズ比0.25

 

●緑茶をうがいすることとインフルエンザ予防効果

複数の報告がありますが、緑茶のうがいはインフルエンザの予防効果があったとする報告と、予防効果は認められなかったとする報告があり、相反する結果となっています。以下は、それらの研究を統合したメタアナリシスという日本の研究の結果です。

 

緑茶のインフルエンザの予防効果について調べた5つの研究(16歳〜83歳の1890人)を集めて解析すると、緑茶によるうがいはインフルエンザ感染症のリスクを有意に低下させていた(相対危険度0.7)。

 

以上をみていくと、緑茶(カテキン)の風邪やインフルエンザに対する予防効果は、飲む量と回数が増えると(理想的には毎日13杯以上)、高まることが示されています。

 

この理由の一つとして、先に書いた通り、カテキンを単回飲んだだけでは血中に移行する割合が低いことや、血中に移行しても遊離型カテキンの濃度は速やかに低下し、組織に留まる時間が短いことが関係しているように思います。

 

メタアナリシスの結果でも、緑茶のうがいによるインフルエンザの予防効果が示されていますが、その効果は、メタアナリシスに含まれている個々の論文を見ても緑茶を飲むよりも低いという結果でした。また、このメタアナリシスでは、研究や対象者の数がバイアス(研究結果を間違った方向に誘導させるような因子)を否定するためにまだ不十分なようです。

 

カテキンによる感染症の予防効果というのは、口腔内や咽頭粘膜に残った成分による直接的な効果と、消化管から吸収され組織に移行した成分による間接的な効果があるように思えますが、カテキンの感染症以外の多彩な効果(抗酸化作用、抗アレルギー作用、コレステロール低下作用、抗腫瘍作用など)を考えると、うがいをするよりも、こまめに飲んだ方がその多彩な効果を引き出すことができるのではないでしょうか。

 

また、日常生活では、うがいができる場所は限られ、接触感染に注意しながらペットボトルでこまめに緑茶を飲む方が実用的です。

 

今回は、緑茶(カテキン)と風邪やインフルエンザによるウイルス感染症との関係について書きましたが、実験室レベルでは、このほかにも様々なウイルス(B肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、HIVウイルス、デング熱ウイルス、ロタウイルス、エンテロウイルス・・・)対するカテキンの抗ウイルス作用が報告されています。

 

これを書いているうちに、緑茶を飲みたいという欲求がふつふつと沸き上がってきました。

 

最近は、家族にしつこく緑茶を勧めるので、煙たがられてソーシャルディスタンスを維持している私です。

 

次回は、緑茶(カテキン)と細菌感染との関係について取り上げたいと思います。


2020年4月29日(水)

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