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 第158話 新型コロナウイルスに備えるために−よく噛んで食べよう!パート3
投稿:院長

※このブログの内容について、電話による個別の健康相談は行っておりませんので、ご了承下さるようお願い致します。


外出の自粛で、自宅の中で過ごす時間が増えていますが、そんな中でも健康的な生活ができるよう、自宅で誰でもできる健康法について触れたいと思います。

 

よく噛んで食べよう!の第3回目は、噛むことが認知機能や精神面に与える効果について紹介します。

 

●噛む機能と認知症との関係について

これについては、数多くの研究結果が報告されていますが、高齢者の歯の本数と認知症との関連を調べたものが多いです。その中で代表的な報告を紹介します。

 

65歳以上の日本人高齢者4425人を対象に、歯のケア状況(残歯の数、義歯の使用状況、咀嚼機能、かかりつけの歯科医の有無、セルフケアの有無)とその後の認知症発症について、4年間にわたって調査した研究では、残歯が少なくかつ義歯を持たないこと、かかりつけの歯科医の不在なことが認知症発症のリスクであった(調整ハザード比はそれぞれ1.851.44)。

 

日本人の高齢者2335人を対象に、残歯の数とその後の軽度認知機能障害の発症について5年間にわたって調査した研究では、歯を1本失うごとに軽度認知機能障害のリスクが高くなり(1本あたりオッズ比1.02)、歯をすべて失うと2532本の歯が残っている場合に比べて有意に軽度認知機能障害に進展しやすいことが示された(オッズ比2.39)。

 

この他、歯をすべて失っても、義歯と義歯が外れないようなインプラントを取り付けると咀嚼力が増し、その後の認知機能のスコア(MMSE)が改善することが報告されています。

 

また、脳MRIなど画像検査を使った研究では、咀嚼すると大脳皮質の血流が増え、体性感覚、補足運動野、島皮質、線条体、視床、小脳という運動や感覚に関係する脳の重要な部分が活性化することが明らかになっています。

 

この他、噛むことが記憶をつかさどる海馬をはじめとした脳の様々な領域と関連していることが数多く報告されています。

 

●噛むことと精神状態の変化について

精神状態との関係では、ガムを噛むことが精神状態にどのような影響を与えるのか調査した研究が数多く報告されています。

 

英国の研究では、101人の対象者に対し、ガムを噛むことが精神状態にどのような影響を与えるのか調査した。その結果、一定時間ガムを噛むと、仕事や仕事以外のストレス、疲労、不安、憂うつが軽減して気分が前向きになり、仕事と仕事以外のパフォーマンスが向上した。

 

英国の研究では、30人の対象者に対し、20分間の複数のストレスを与えて、その前後の唾液中のコルチゾール(ストレスホルモン)、主観的なストレス、不安、落ち着き、満足感、注意力を調べた。その結果、ガムを噛むと噛まない場合に比べて唾液中のコルチゾールの分泌と主観的なストレスが減少した。

 

その他、ガムを噛むと集中力や注意力が増すことも報告されています。

 

●噛むことと痛みの変化について

セロトニン神経は、痛みの伝導を抑制する働きに関係しているが、日本の研究では、被検者に対して足の腓腹神経に電気刺激を与えて痛みを誘発し、20分間ガムを噛むと(噛まない場合に比べて)、痛み反射、主観的な痛み、血漿セロトニンの濃度がどのように変化するか調べた。その結果、ガムを噛み始めた5分後から、痛みの面積と主観的な痛みが減少し、ガムを噛み終わるまでその効果が持続した。セロトニンレベルは、ガムを噛み終わった直後から上昇し、30分後にもとのレベルに戻った。これは、ガムを噛むことにより増えた脳内のセロトニンが、脳血管関門にあるセロトニントランスポーター(出入りを制御するたんぱく)を介して血液中に分泌されているものと考えられ、活性化したセロトニン神経が痛みの抑制に働いていることが示唆された。

 

ペンフィールドのホムンクルスといって、大脳の運動と感覚をつかさどる領域のうち、どの部分が身体のどの部分に対応しているのか示した有名な脳地図があるのですが、これを見ると口腔や顔面の領域だけで全体の約50%!という大きな割合を占めていることがわかります。

 

口腔や顔面というのは、とても多くの脳神経と関連しているのですね。

 

ガムは虫歯の原因になるのでは?と考えてしまうのですが、最近はキシリトールが配合されている数多くの商品(トクホに認定されている商品もあり)が発売されています。

 

キシリトールは天然由来の甘味料ですが、砂糖のように歯を溶かす酸を産生することがなく、虫歯の原因菌であるミュータンス菌の活動を阻害する働きがあり、虫歯の予防効果が期待できます。

 

ただ、専門家の話では、90%以上配合されたものでないと虫歯の予防効果がないこと、食べ過ぎると下痢を引き起こすので注意が必要だそうです。

 

某メーカーの宣伝ではありませんが、毎日20分間の「お口の恋人」はいかがでしょうか?



2020年4月21日(火)

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