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 第157話 新型コロナウイルスに備えるために−新たな知見をもとに感染対策を再考する
投稿:院長

※このブログの内容について、電話による個別の健康相談は行っておりませんので、ご了承下さるようお願い致します。

 

3月中旬以降、新型コロナウイルスの感染様式に関する研究結果が次々と報告されていますが、新しい知見をもとに感染対策を再考してみました。

 

【新型コロナウイルス感染症患者を治療する病棟内のウイルスをPCR検査で調べた研究】

410日にEmerging Infectious Disease Journalに掲載された論文より。

新型コロナウイルス感染症患者を治療する中国の病棟内で、空気中と器具表面のウイルスの有無をPCR検査で調査した。

 

ICUでの空気中のウイルスPCR陽性率は、患者の頭部から1m離れている通気口の出口35.7%、患者の頭部から1m離れているベッド周辺44.4%、患者の頭部から4m離れている医師の事務作業空間(室内の気流の上流に位置)12.5%であった。

 

器具表面でのウイルスPCR陽性率は、コンピューターマウス75%、ゴミ箱60%、ベッドの手すり42.9%、患者のマスク40%、ドアノブ8.3%、医療スタッフの手袋25%、医療スタッフの袖16.7%、医療スタッフのシューズの底50%であった。

 

PCR陽性が必ずしもウイルスの感染力を反映したものでない点に注意が必要ですが、この調査からわかることは、@新型コロナウイルスはエアロゾルを介して、気流の上流であっても4mの距離を移動しうること、Aしたがって、2m以内でしか感染しないものを飛沫感染、2m離れても感染するものを空気感染(飛沫核感染)と定義すると、新型コロナウイルスは空気感染を起こす可能性があること、B人が共用する器具(コンピューターマウスなど)やごみ箱のウイルス陽性率が高いこと。

 

【エアロゾル中の新型コロナウイルスの感染性を調べた研究】

317日にNew England Journal of Medicineに掲載された論文より。

気温2123℃、湿度65%の環境下で、ネブライザーを使って人為的に新型コロナウイルスを含むエアロゾルを密閉した円筒内に発生させ、経時的に空気中に含まれるウイルス量(感染価)を調査した。その結果、経時的にウイルス量の減少は見られたものの、3時間後にも感染価が維持されていた。

 

この研究からわかることは、@密閉した空間では、ウイルスは3時間空気中を漂い感染力を維持する可能性があること。

 

【サージカルマスクの効果を調べた研究】

43日にNature Medicineに掲載された論文より。

気道症状がありPCR検査でコロナウイルス(新型ではなく風邪の原因である季節性コロナウイルス)が陽性となった17人の患者を、サージカルマスク(※)を着用した群とマスクを着用しない群に分けて、30分間、呼気中に含まれる飛沫(5㎛以上の大きさと定義)とエアロゾル(5㎛未満の大きさと定義)に分けて分析し、それぞれでウイルスが検出されるか調査した。患者は30分間に平均17回の咳をした。

 

※サージカルマスクとは、医療従事者が一般的に着用する不織布マスクで、現在、家庭用として出回っている不織布マスクもかなり高品質なものが出てきているようです。

 

以下に結果を示す。

マスクをしない群では、30%(3/10)の飛沫、40(4/10)のエアロゾルからコロナウイルスが検出された。

一方、マスクをした群では、飛沫からも、エアロゾルからもウイルスが全く検出されなかった(いずれも0/11)。

 

新型コロナウイルスを実験対象としたものではないという点に注意が必要ですが、この実験からわかることは、@コロナウイルスに感染した人がマスクを着用すると、高い拡散防止効果が期待できる可能性があること、Aコロナウイルスは飛沫だけでなく、呼気中のエアロゾル中にも含まれうること、Bマスクをしない場合でも、すべての飛沫やエアロゾルにウイルスが含まれているわけではなく、他人へ感染を起こすためには長時間にわたる濃厚な接触が必要である可能性が高いこと。

 

【新型コロナウイルスが、様々な環境下でどこまで感染力を維持できるか調べた研究】

42日にThe Lancet Microbeに掲載された論文より。

●気温と感染力の持続時間

一定の濃度のウイルスを含む検体を様々な気温下におき、どこまで感染力を維持できるか14日間にわたって調べた。以下に結果を示す。

気温が4℃では、14日後まで感染力を維持。

気温が22℃では、7日後まで感染力を維持。14日目に感染力が消失。

気温が37℃では、1日後まで感染力を維持。2日目に感染力が消失。

 

●材質の違いによる感染力の持続時間

室温22℃、湿度65%の環境で、一定の濃度のウイルスを含む少量の液体を各物質の表面に滴下し、材質の違いによりどこまで感染力を維持できるか7日間にわたって調べた。以下に結果を示す。

コピー用紙とティッシュペーパーでは、30分後まで感染力を維持。3時間後に感染力が消失。

木材と布では、1日後まで感染力を維持。2日目に感染力が消失。

ガラスと紙幣では、2日後まで感染力を維持。4日後に感染力が消失。

ステンレスとプラスチックでは、4日後まで感染力を維持。7日後に感染力が消失。

サージカルマスク内側では、4日後まで感染力を維持。7日後に感染力が消失。

サージカルマスク外側では、7日後まで感染力を維持。

 

●消毒液による効果

室温22℃の環境下で、一定濃度のウイルスを含む少量の液体を一定量の各消毒液に滴下し、消毒液の違いにより、どこまで感染力を維持できるかを調べた。以下に結果を示す。

家庭用漂白剤(次亜塩素酸のことか?)50倍希釈、家庭用漂白剤100倍希釈、ハンドソープ液50倍希釈、70%消毒用エタノール、0.1%ベンザルコニウム塩化物液で調べた結果、ハンドソープ液のみ、一部の検体で5分後に感染性が維持されていたが、それ以外はすべての消毒液で5分後には感染力を失っていた。ちなみに、人体の消毒に用いられる7.5%ポピヨンヨードや0.05%クロルヘキシジンも同様に有効であった。

 

この実験からわかることは、@新型コロナウイルスはインフルエンザとは異なり、22℃、50%以上の環境下でも長時間感染力を維持すること、A特にプラスチックなどの表面が滑らかな材質では長時間感染力を維持すること、Bサージカルマスクに付着したウイルスは長時間感染力を維持すること、C身の回りにある消毒液は有効なこと。

 

【最近の研究から見えてくる感染対策】

●空気感染・飛沫感染対策

@新型コロナウイルスは長時間空気中を漂って、2m以上の距離でも空気感染するという前提に立ち、密閉、密集、密接の一つでも当てはまる場所は極力避けましょう!

A温暖化による終息を期待せず、むしろ温暖になることを利用して積極的に窓を開けて換気しましょう!(部屋だけでなく車の窓も開けましょう)

BWHOは感染していない人のマスク着用を推奨していませんが、無症状感染者の多い新型コロナウイルスの場合は、自分も感染しているかもしれないという前提に立って、誰でも積極的にマスクを着用しましょう!


●接触感染対策

C消毒していないマスクの使いまわしは絶対に避けましょう!

D消毒液を使って、特にプラスチックなどの滑らかな器具の接触面を消毒しましょう!(ゴミ箱やマウス・タブレットも忘れずに消毒しましょう)

 

※このブログの内容について、電話による個別の健康相談は行っておりませんので、ご了承下さるようお願い致します。


2020年4月16日(木)

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