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 第112話 父との約束
投稿:院長

先週の週末、新潟の実家に1泊だけ帰省しました。

 

それは、父との約束を果たすためです。

 

ここ数年、めっきり体力が低下し、今年から特別養護老人ホームに入所していましたが、私が帰省した時に実家に外泊する約束をしていたのです。

 

この日に合わせて、施設では、夕食に食べる嚥下食を用意し、ポータブルトイレを貸して下さいました。

 

介護タクシーに乗って、父にとって半年ぶりの帰宅です。

 

実家では、簡易ベッド、座椅子を使った背もたれ、ベニヤ板で作ったテーブルを用意し、この日に備えました。

 

父が生まれてからずっと過ごした実家は築100年以上。

 

家族で食卓を囲んだ日、一緒に屋根の雪下ろしをした日、酒を酌み交わして饒舌に語った日、母と口げんかした日・・・。

 

実家には、家族の思い出が染み込み、この場所で起こったことが昨日のことのように思い起こされます。

 

今は、自力で起き上がることもできなくなり、眠ってばかりで口数も少なくなってしましましたが、久しぶりの実家に気分がよさそうです。

 

すっかり痩せてしまった体に涙が出そうになりましたが、今までの感謝の気持ちを込めて食事の介助、トイレの介助、清拭、着替えを行いました。

 

深夜、隣で寝ていたところ、ドスンという音がして慌てて目を覚ますと、案の定、柵のない簡易ベッドから転落していました。トイレに起きようとしたようです。

 

しかし、あらかじめ座布団をマット代わりに、三重に敷き詰めていたので、全くケガはありませんでした。

 

父をゆっくりと抱きかかえてベッドに戻すと、小さな声で「どうもな」と言葉を発しました。

 

あと、どれくらい親孝行ができるかわかりませんが、今日、約束を果たせて本当良かったと感じました。

 

翌朝、母が、来年の年賀状を見せてくれました。そこには、父が施設で創作した俳句が添えられていました。

 

来年の正月に、仙台にもこの年賀状が届きますように・・・と願いながら実家を後にしました。

 

今、担当している患者さんには、私の父と年齢が重なる方が大勢いらっしゃいます。

 

ご家族の心の中に、父と過ごした日々が良い思い出として刻まれるよう、それぞれの約束を果たしていきたいと改めて思いました。


2019年11月2日(土)

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